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いや!
世捨て人というのは
適切な表現では、ないだろう。
世捨て人とは
修行僧のような
生き方をいうもの。
ボクの場合は
そんな高尚でなく
人生に夢も希望も
持てない者であった。
幼い頃からの
劣悪ともいえる
自分の家庭環境。
あの事件当時
自分の今後の人生に
僕は絶望していたんだ。
しかし
松山さんとの
あの北海道旅行で
僕は考えを変えた。
これから
死んだつもりで
頑張ってみよう。
そんなふうに
思わせてくれたのは
あの松山さんである。
大丈夫!
大丈夫!
高坂君ならば
きっとヤれる!
将来は必ず
社会貢献できる
人間になれるはず!
と
松山さんに
何度も言われて
僕はゼロから
自分の人生を
切り開いていこうと
決心したんだ。
北海道旅行中
松山さんからは
夜、寝る前には
ベッドを並べて
京都大学の話を
僕は聞いていた。




