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週に一回ほど
老齢の女性が
僕の個室のベッドの
シーツ交換に来てくれる。
その女性にも
いつも
ありがとうございます!
と
僕は丁重に
お礼を言っている。
自分のために
何かをしてくれる
人たちに感謝すること。
そんなことは
僕には当然というか
普通の行いであった。
とはいえ
医療少年院に
入ってくるような子は
普通のこともできない。
となると
普通であるはずの
僕が自然と目立つ。
高坂君は礼儀正しい
真面目な男の子だ!
どうして
高坂くんのような子が
ここに来たんですか?
と
厨房や掃除担当の
パートのオバサンたちは
職員に言っているという。
もちろん
守秘義務がある
職員は教えられない。
なので
ここに来て
あの子は精神的に
安定したんでしょうね!
とか
答えているようだ。




