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僕にとって
医療少年院が
天国だと思えた
理由は食事だろう。
噂通りに
少年院の三食の食事は
ボリューム満点だった。
さらには
僕から見ると
豪華で美味しかった。
ただし
オカズもご飯も
量は決まっている。
お代わりはできない。
それは
僕を含めて
全ての入所者が
規則により同じだろう。
どんなに
ボリュームがあっても
足りないこともあった。
そのことを
月に一度ある
所長との面談で
僕は伝えたんだ。
すると
その翌日から
オカズ、ご飯の
お代わりはできないが
最初から
ご飯が山盛りで
味噌汁も丼入りで
出てくるようになった。
このことは
他の入所者には
絶対に言わないように
職員に口止めされた。
この点だけは
自分は特別扱いかなと
僕は思ったものだ。
きっと所長は
小学生の頃からの
僕の境遇に同情したんだ。