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それに
この医療少年院において
自分が特別扱いされていること。
それを
人から実際に
聞いたことはない。
それでも
長く過ごすうちに
何となくであるが
あれ?
これは
僕だけでは?
とか
たまに感じるものだが
もしかしたら
それは僕の気のせいで
他の入所者も
同待遇かもしれない。
ここでは
他の入所者との
接点は少ないから
よくわからない。
そんなふうに
自分に言い聞かせて
僕は過ごすことにした。
小沢君と野村君は
僕が少しでも快適に
ここで過ごせるように
望んでいるということ。
それだけは
はっきりわかるし
素直に感謝している。
月に一度の
面会の時には
僕への差し入れだけでなく
小沢君と野村君は
職員にも手土産を
いつも持ってくる。
それも
僕が少しでも
職員に好かれるように
2人の配慮であろう。