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それまで
親思いの2人は
心配させまいと
ずっと家族に
イジメの被害を
内緒にしていたんだ。
しかし
僕のことを頼むには
イジメは内緒にできない。
具体的には
2人は父親の力で
僕の居場所を探し出し
面会に行きたいこと。
それを
父親に頼んだんだ。
ところが
居場所はわかっても
僕に会いにいくことに
2人の母親が難色を示した。
そうなることも
小沢君と野村君は
予想できていたそうだ。
小沢君の家は
父親は公認会計士で
地元の名士で面あり
体裁や格式に拘る。
野村君の家も
何代も続いている
地元で有名な内科の
開業医であるからだ。
少年法により
僕は罪を犯した
少年ではないものの
世間を賑わせた
事件の加害者なのは
変わらない事実である。
そんな子に
会いにいっては
我が家の名誉に
傷がついてしまう。