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それゆえ
本来ならば
もう矯正は終わり
もっと早く
社会復帰できたところを
僕は自らの希望で
入所の継続を望んだんだ。
もちろん
原則では単独で
外出できないとか
入浴できるのは
夏は週に3回で
冬は週に2回とか
いくつかの制約もあった。
それでも
そんな制約など
全く苦にならない程
医療少年院は快適だった。
そんなにも
快適だったのは
二つの理由がある。
まずは
院内の職員全員を
味方に付けたことだ。
服役囚にとって
看守に好かれるか
あるいは嫌われるかで
刑務所生活は
天と地ほどの差が
出るといわれている。
刑務官といえど
人間であるから
好き嫌いはある。
看守に好かれれば
本来はできないことも
融通してもらえるという。
たとえば
特別に水虫の薬を
こっそり貰えたり
服役囚としての
待遇が良くなるように
級をあげてもらえる。




