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もう二週間も
前になるんだよね!
あの時
思いきって
電車の中で高坂くんに
話しかけてよかったよ!
まるで
僕にとっては
宝くじで何億も
当たったような気がするよ!
と
思い出したように
松山さんが真顔で言う。
それは
僕も同じである。
犯行の当日
東北の在来線で
松山さんに声を
掛けてもらえたこと。
それが無ければ
こんなに楽しい
思い出を作れなかった。
人生において
最も楽しい思い出に
なるような気がする。
明後日には
僕は犯罪者に
該当しないものの
数年の間は
拘束されることになり
自由は奪われるだろう。
そう思うと
最後に松山さんと
同じ時間を過ごせたのは
本当にラッキーなことだった。
ねえ!
高坂くん!
歳は7つも
離れているけど
僕の友達になってくれよ!
と
松山さんが
これも真顔で
僕に頼んできたんだ。