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松山さんは
僕の隣に腰かけ
もう一つの雑誌を
じっくり読み始めた。
しばらくして
やっぱり
僕が思った通りだ!
おそらく
マスコミは
この事件の少年を
英雄に仕立てるつもりだよ!
と
松山さんは
確信に満ちた
口調で言った。
そのことは
僕も記事を読んで
何となく感じたことだ。
ただ
被害者3人が
大ケガしたことに
お気の毒だとか
可哀想だなで終わったら
記事の話題性は小さい。
それよりも
松山さんが言うように
これから加害者の少年
僕のことを
イジメられっ子たちの
ヒーローに仕立てる方が
ストーリーが盛り上がる。
その方が当然
全国の読者の
興味を引くことになり
雑誌の販売数が伸びる。
出版社としては
今後、発売する雑誌の
売り上げを伸ばすために
ストーリーを作るわけだ。




