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ただ
そんなことなんて
僕は全く意に介さない。
僕は決して
罪を犯した少年に
該当しないからだ。
少年法というものが
僕を守ってくれるんだ。
鬼頭!
貴島!
間瀬!
どうやら
僕の勝ちのようだな!
お前たちの負けだよ!
と
自然と笑いが
こみ上げてくる。
やっぱり
マスコミは
こう書いてきたか!
と
背後からの声に
僕は反射的に振り返る。
すると
いつの間にか
松山さんが立って
僕の読む雑誌を
上から熱心に
覗き込んでいたんだ。
どうやら
僕は読むことに
熱中してしまい
背後にいた
松山さんの存在に
気づかなかったようだ。
昨日までなら
事件の容疑者だと
気づかれないように
僕は警戒したはずだ。
しかし
今の僕は全く
それも気にならない。
もう今の僕は
気づかれたら
気づかれた時だと
腹を括ったようだ。