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松山さんは
カメラを持っていて
僕は昨日から何度も
撮ってもらっている。
他の人に頼んで
二人で並んでの写真を
撮ってもらったこともある。
僕は一瞬
ツーショットは
躊躇してしまった。
もちろん
その理由は
松山さんと一緒に
写るのが嫌なのでない。
僕が警察に
身柄確保された時に
迷惑かけることを
心配したからだ。
しかし
僕が断れば
鋭い松山さんは
何かを勘ぐるだろう。
なので
他の観光客に
ツーショット写真を
喜んで撮ってもらった。
おそらく
その写真の中の
僕は満面の笑みだろう。
写真が出来なら
郵送するから!
と
松山さんに
実家の住所を
聞かれたので
僕は素直に応じた。
しかし
僕は実家には
今後、二度と
帰ることはないはず。
なので
残念であるが
僕は出来上がった
写真を見れない。




