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それどころか
オカズやパンまで
僕は奴らには
奪われることもあった。
担任がいても
見て見ぬフリだった。
そんな時
僕は情けないことに
牛乳だけになった
給食を前に泣いていた。
悲しくて悲しくて
涙が自然と溢れてきた。
そんな僕の方を
小沢君と野村君は
いたたまれないような
表情で見ていた。
二人だけでなく
他のクラスメイトたちも
その僕の様子には
気の毒に思っていたはずだ。
クラスメイトたちは
僕の家庭環境を薄々
知っていたからだ。
それは
奴ら三人も同じで
知っていたはずだ。
それゆえ
僕の命綱である
給食を奪い取っていた。
奴ら三人は決して
小沢君や野村君からは
給食を奪わなかった。
おそらく
いつも腹ペコの
貧乏な高坂から
給食を取り上げて
泣かしてやろう!
と
奴ら三人は
陰湿に思っていたんだろう。