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それゆえか
残念ながら
僕も松山さんも
そんなに空腹ではない。
なので
喫茶店に行き
モーニングセットを
食べることにした。
二人で向かい合い
モーニングを食べながら
昨夜の船内の映画室で見た
映画の感想を言い合った。
高坂くんは
中学生にしては
なかなか鋭いね!
とても観察力あるよ!
と
僕の感想を聞いて
松山さんは感心する。
昨日の朝までは
松山さんは僕を
君と呼んでいた。
しかし
いつの間にか
親近感を抱いたのか
高坂くん!
と
呼ぶようになっていた。
僕は最初から
松山さんと呼んでいる。
思えば
松山さんは一昨日
在来線で出会った時から
やたら僕を褒めてくれる。
地頭がいいとか
肝っ玉が据わってるとか
きっと将来は大物になるとか
僕のことを
お世辞もあるだろうが
真顔で何度も褒める。