1806/1883
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これまでの
自伝を一冊
執筆したような
気分になっている。
僕の長い話の間
真由さんは全く
口を挟まなかった。
無言のまま
真由さんは
最初から最後まで
聞いていてくれた。
やはり
僕は気になって
真由さんの表情を窺う。
すると
驚いている様子も
恐怖を抱いている様子も
僕には感じられない。
僕の目には
平然に見える。
少しの沈黙の後
もしかしたら・・・
高坂君って
あのツルハシ君なの?
と
真由さんは
僕に聞いてきたんだ。
えっ!?
僕のことを
知っているんだ!
と
その真由さんの
言葉には驚いた。
ツルハシ君とは
僕の事件がマスコミに
大きく公表された時に
付けられたニックネームだ。
僕の犯行の凶器が
ツルハシということで
読者の誰かが付けて
その名が広まったようだ。
僕の事件を
知っているの?
と
真由さんに
僕は聞いてみる。




