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あの男は
ただ者ではない!
普通の学校秀才の
東大生ではないぞ!
そんなふうに
僕を評していたという。
さらには
自分よりも上と感じた
初めての年下の人間とも
お父さんに言っていたという。
お父さんは
滅多に人のことは
褒めないという。
それゆえ
尚子さんも
驚いたという。
どうやら
東大の男というのは
勉強は出来るだけで
人間的な魅力には
乏しいという考えを
お父さんは持っていたようだ。
しかし
僕と話してみて
その考えを改めたという。
ただ
尚子さんは
お父さんには
東大の中でも
高坂君みたいな
男の子は少ないよ!
と
言っておいたそうだ。
尚子も将来
ああいう1本
筋野通った男と
結婚すればいい!
と
お父さんは
尚子さんに真顔で
勧めてきたそうだ。
それは
僕にとっては
身に余るほどの
褒め言葉である。




