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お父さんが
最寄駅までは
車で送ってくれた。
駅前で別れる時
尚子のことを
よろしくお願いします!
と
お父さんは
何度も頭を下げていた。
お母さんからも
車に乗る前には
同じことを言われた。
尚子さんは
もう20歳だが
いくつになっても
親には子供なんだ。
尚子さんの
家族と過ごして
家族って
いいものだな!
と
僕には思えた。
そして
もしも
可能ならば
自分も将来
家族を持ちたいな!
とか
僕は思い始めたんだ。
ここに来るまで
そんなことなんて
考えたことはなかった。
組織嫌いであり
社会不適合者の
自分には死ぬまで
結婚は無理だろうな。
そもそも
僕には人に
言えない過去があるし。
そんなふうに
中学の頃から
ずっと思って
僕は生きてきた。
しかし
尚子さんの
家族と過ごしてみて
僕の考えが
結婚もありかなと
変わったようだ。




