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はたして
お父さんは
どこまで僕のことを
見抜いているんだろうか?
僕の目を見て
只者ではないと
言っていたんだ。
おそらく
人知れぬ経験を
僕がしてきたことは
お父さんは
何となくであるが
感じ取っているはずだ。
そして
そのことについては
聞いてはいけないとも
思っているんだろう。
それゆえ
僕の大学入学前のことは
全く聞いてこない。
というか
そんなことは
どうだっていいと
思っているのかもしれない。
お父さんは
泥酔こそしてないが
かなり酔っぱらっている。
僕に対しては
観察するようには
もう見ていない。
娘の友達として
僕は見ているだけだ。
尚子には
高坂君のような
いい友達がいて
私も安心だよ!
これからも
娘のことを頼みますね!
とか
お父さんは
ほろ酔い気分で
僕に何度も言っている。




