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いずれにしろ
話さなければ
僕は苦学生で
通用するかもしれない。
今、気づいたが
僕にスーツ姿でなく
普段着を勧めたのは
尚子さんの
家族に苦学生を
装わせるためだったんだろう。
まあいいや。
それならそれで
僕はアルバイトで
学費や生活費を賄う
苦学生を演じてやろう。
そうした方が
尚子さんの家族
特にお父さんには
共感を得られるだろう。
僕は少し
迷ったものの
滞在中に一度
お父さんと2人で
話してみたいんだ!
と
尚子さんに
申し出ることにした。
もちろん
2人で話せば
僕の正体がバレる
危険は高くなる。
僕の正体とは
本当は尚子さんの
彼氏でないことや
苦学生でないことだ。
しかし
そんなことよりも
お父さんと話したい
気持ちが大きかった。
自分の今後に
プラスになる人とは
僕は積極的に接点を
持つことにしている。




