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おそらく
さっきの受付での
女性も同じあろう。
無銭の宿泊、飲食で
人生を棒に振ることを
京大生はしないだろうと
受付の女性は思ったはず。
それゆえ
いかにも浮浪者風の
松山さんを信用したんだ。
そもそも
電車での会話で
僕は松山さんの
人格を見抜いている。
見かけこそ
引いてしまいそうだが
人の道に反することを
するような人でない。
ズバリ言うと
いい人であると
僕は確信している。
それゆえ
僕は大金を置いて
部屋を出ようとしたんだ。
僕は松山さんに
ご指摘ありがとうございます!
と
素直に御礼を言う。
後学のために
僕に注意してくれたんだし
やはり感謝すべきである。
もしも松山さんが
持ち逃げしたとしても
その時はその時ですから!
どうぞ、ご自由に!
と
僕は平然と
大浴場に向かった。