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桃音さんは
まさに正真正銘の
ハイスペック女子だ。
頭は良くて容姿端麗。
性格も優しくて
思いやりもある。
そのような
素晴らしい女性に
付き合いたいと
僕は言われたんだ。
身に余る光栄だ。
もしかしたら
東大に入ってから
最大の喜びかもしれない。
ただし
あくまでも
そう言ってくれるのは
桃音さんが
僕がアセクシャルと
信じているからだ。
つまりは
僕は異性愛者でないから
そういう可能性はない。
その上で
もし僕が異性者なら
付き合ってもいいと
桃音さんは言うんだ。
これが
もし桃音さんが
僕が無性愛者でなく
異性愛者と知っていたら?
桃音さんは
僕と付き合いたいとは
言わないかもしれない。
しかし
そのような
マイナス思考は
止めるべきだろう。
桃音さんは
僕を最初から
異性愛者と知っていても
付き合いたいと思ってくれた。