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しかし
残念ながら
ツインルームしか
空いてなかった。
予定通りに
僕は松山さんの
弟ということにして
宿帳にサインした。
意外だったのは
フロントの若い女性は
僕よりも松山さんの方を
怪しい目で見ていた。
あたかも
この人は
ちゃんと宿泊代金を
払ってくれるのだろうか?
兄弟2人で
ホテル内で
無銭飲食をして
逃げるつもりでは?
と
不審者を見るような
疑いの目であった。
おそらく
松山さんの体が臭いのと
無精髭に覆われた
不潔な顔が原因だろう。
その女性が
疑う様子を見て
僕はマズイと思い
こう見えて
兄は京都大学なんですよ!
と
松山さんに
フロントの女性に
学生証を見せることを促した。
すると
女性は幸いにして
学歴厨というか
学歴至上主義者のようだ。
まあ!
京大の学生算でしたか!
と
女性の表情が
とたんに変わった。