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その僕の人生で
最後の楽しい旅となる
これからの時間。
それを
彼と共有したいと
僕は思い始めたんだ。
もちろん
彼には迷惑を
掛けないようにする。
それゆえ
僕の犯行のことは
絶対に内緒にする。
僕は一瞬
迷ったものの
思いきって切り出した。
お金は全て
僕が負担するので
しばらく一緒に
旅行しませんか?
と
彼に提案したんだ。
その後に
ポケットの中の
財布を取り出して
彼に中身を見せる。
100万円を
僕は用心のために
リュックと左右のポケットの
3ヶ所に分けて保管している。
その一つの
財布の中身の
札束を見せたんだ。
その際には
両親に一人旅を
勧められたこと。
手持ちの金を
全て使い切ったら
自宅に帰ることを
僕は彼に話した。
かなり前に
今日が旅行初日と
彼には伝えてある。