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そうだ!
と
僕の頭の中に
ある考えが思い付いた。
彼は今
貧乏旅行中で
資金は乏しいという。
帰る日は決めてなく
お金が尽きるまで
旅行を続けるようだ。
つまりは
お金は無いものの
暇は、いくらでもある。
さらには
ありがたいことに
7歳も年下の僕に
彼は好感を抱いている。
それならば
僕の人生最後の旅に
彼に付き添ってもらう。
人生最後というのは
もう死ぬということでなく
自分の人生で楽しめる
最後の旅ということだ。
どのみち
生き続けても
僕の人生には
もう先は、ない。
お先真っ暗
惨めな人生が
待っているだけだ。
こんなにも
お金に余裕のある
旅行は二度とできない。
そんなことが
わかっているから
僕は成り行き任せとはいえ
この逃亡旅を楽しむつもりだ。
さらには
旅が少しでも
長続きすることを
僕は願っている。