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全て話すとは
イジメのことから
僕の今日の犯行までだ。
この京大生には
不思議であるが
初対面であるものの
そんなふうに
僕に思わせてしまう
不思議な魅力がある。
この人は
外見は汚ないけど
きっといい人だ!
と
僕は感じている。
小学生の頃から
僕は初対面の人でも
その本性を見抜く
能力があるようだ。
おそらく
母の再婚相手の
男の暴力に常日頃
苦しめられたからだ。
今日の奴は
機嫌良さそうか?
機嫌が悪そうか?
敏感に察知して
機嫌が悪そうなら
僕は自室に入り
接点を避けていた。
そんな習慣から
僕は子供でも自然と
人間観察力が付いたんだろう。
というわけで
彼の不思議な魅力に
つい自分の家庭環境を
話してしまいそうになった。
しかし
何とか思い留まる。
いくら良い人でも
話していいこと
悪いことはある。