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なぁにただの暇潰し

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

何となく怪奇なので、ホラーに入れときます。

夢の魔女の暇潰し。

仕事をして休日が来てまた仕事をする。昨日と同じ様な仕事をして、休日に入ってもまた昨日と同じ休み方をする。そうなると、社会に順応してしまった悲しき生き物だと思わざるは得ない。

その過ごし方が嫌な訳ではない。ただ一日が終わる度に、言葉に出来ない後悔が、ゆったりと胸を侵食する。もっと何か出来たのではないか。させてあげたのではないか。

だから何時も自問自答を繰り返す。

次の休日は何をしようか。純喫茶に行こうか。遠くの水族館へ行こうか。洋館を見に行こうか。美術館に行こうか。庭園を見ようか。神社を巡ろうか。

其れでも明確な答えは全く出て来ないのである。

そうして今日も同じ様に純喫茶に訪れる。仄かな燻煙とほろ苦い珈琲の匂い。其れにクラシックが混ざると、なんとも言えない居心地の良さを感じてしまう。

「お嬢さぁん、退屈かえ?」

突然声を掛けられて、驚いて顔を上げると、一人の女性が腰掛けていた。髪は長く、一つの三つ編み。少し着崩したワンピースは色が褪せてぐったりとしていた。けれども表情だけは、生き生きとしている。まるで服の養分を全て吸い上げた様に。

「誰ですか……貴方」

「誰でも良いじゃないですかえ? そんな一期一会の関係なんて。明日になりゃ、み〜んな忘れちまうんだから」

そう言って、ケラケラと笑う。女がいることに気が付いた店員が、何食わぬ顔で水を差し出す。どうなら彼女の席は今まさに決められたらしい。

「お嬢さん。退屈は人を殺す。そうしてその退屈から免れる為に、人は数多の文明を作り出した。私から言わせりゃ、人類の発展なんてただ退屈という恐怖から逃れるた成れの果てに思えて仕方がないんですがね。

んっふふ……でもだからこそ面白い。逃れて逃れて逃れても、退屈は何時もお前様のお傍に。そうして其れに気付いたら、また逃れる為に、また一生を費やすのでしょう?」

意味がある様で、ない言葉の羅列。伽藍な言葉の配列。其れに唖然としていると、また女は口を開く。

「其れが創造的行動ならなぁんも文句はないんですが、破壊的行動に行き着いちまうのが人間の悪いトコ。だからまぁ」

そう言って、私の目を見る。山羊のような縦に長い瞳孔。ギラギラと輝く先の鋭い白亜の歯。其れに威圧されて唾を飲むと、またケラケラと笑う。

「どうです? お前様の退屈、少しは紛れましたかねぇ。

なぁに、同じ毎日に疲れ果てんのは、お前様だけではありゃせんの。みぃんな同じ。だから気負いなさんな。こんなお喋りなババァ相手に勝手に喋らせりゃええんです」

そうして突然、私の前で手を叩く。猫騙しの様に突発的に。そうして閉ざされた目を開いた後には、女はとうに消えていた。

伽藍には伽藍をぶつければ良いと思ってる人。

この夢の魔女が話している内容だって、ただの戯言。

深い意味はない分、ただの暇潰しにしかなりません。


でもこうやって突然現れて、何ら意味の無いことを連ねて、突然姿を消す様な話が好きなんですよ。

そうして其れに惑わされる主人公が好きです。


暇潰しにはなったでしょう?

暇の苦しみを無くすために、愚かな真似をしなくなったでしょう?

なら良いじゃん?

というのが、夢の魔女の話でした。


社会に順応してしまいました。

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