10年後の初恋
1LDKのマンションの一部屋に何事もなく、今日が
過ぎて行く。あれから1年かそれくらいだろうか
澤井竜 36歳
どこにでもいるようなその辺の建設員
竜は1人ではもったいない部屋に1人
酒を片手に今日を過ごしていた
新田 蓮香 27歳
歳の差はあるが、ほんとに寂しがりで
1人ではいられないような性格だった
かまっちゃんとゆうよりは無駄に男にかまってしまい
それで勘違いさせてしまうようなタイプ
これも蓮香の人の良さのせいだろうと竜は思っていた
竜と蓮香が出会ったのは
3年前の4月頃だった
直接的に出会ったのがそのくらいで、知り合ったのはもっと前だが、その頃は特にお互い何も思っては
いなかったと思う
どちらかとゆうとお互いにいい印象は持っていなかったと思う。ただそんな2人がひょんな事からまた出会った事は竜自身も不思議な感覚だった
たぶんどっちもこの2人がまさか付き合うことになるとは思ってもいなかっただろうし、蓮香自身も同じ感覚だったのかもしれない
竜はバツイチで円満と思われていた家庭も嫁の不倫で一瞬にして、散っていった
男がする話はよく聞くがまさか女側がするとは
竜も思っていなかった。ただこの家庭崩壊は竜にとってはそれほどダメージがあるものではなかった
ただ、子供と離れるのが胸が苦しくなったのはあったが当然会えないわけではないし、そうやって考えると気が楽になった
もともと1人が好きだった竜は幼い頃からボクシングをしていたのもあってあまり恋愛に向き合う時間がなかった
ただ付き合えばそれなりに長く続いたし、結婚生活も8年くらい続いたからそこまで何か問題があったわけではないし、まぁいわゆるごく普通の生活を過ごしてきたような感じだった
正直なところ、どの恋愛がどうだったとか申し訳ないがあまり記憶にも残っていない
それがこの蓮香だけは違った
逆にどこにでもいそうで、1番記憶に残らないような女性なのにこの蓮香だけはずっしりと重く、竜の記憶を
埋めた女性だった
正直、何が本当で嘘かわからない中途半端な女だが
なにかほっとけないそんな魅力を持っていた
ほっとけないと言っても可哀想だからとかゆう感情ではなく、幸せになるべき女なのに幸せになれない人生を歩んでしまっているのだと思った
そこまで女に対して考えたこともなかった竜が
これ程まで考えるのは珍しい事だった
竜は外見でこれまでチヤホヤされてきた部分はあったが、あまり何事にも興味を持てなかった事や、彼女の価値観に合わしてくる事もできなかった
マイペースとゆうか、自分なりの考え方、生き方で
物事を判断して生きていた
それもあり、愛情とゆうもっとも恋愛において大切な事が欠けていた
それは竜本人もわかっていたし、自分には改善しようにも改善できない問題点だった。結婚生活は8年、元嫁と付き合った年数でゆうと一年ちょっとで、恋愛とゆう種目においては役10年以上前の話だった
それが最初で最後なんだろうなと思っていたのもあったが、まさか自分が10年越しに誰かを愛し、そしてちゃんと愛情をもって恋愛をするとは思ってもみなかった
10年後の恋愛ではあるが、りゅうにとってはこの恋愛が初恋のような感じがした。




