これからは歩きスマホはやめよう
ボソボソ
「あーなるほどね。こういうふうにすでにある小さな習慣と新しく作りたい習慣を組み合わせていくのか〜」
ボソボソ
「えーと次は〜瞑想は心身を安定させてパフォーマンスを向上させる現代の必須スキルね。脳まで鍛えられるの?やばいね最強かも知れない」
ボソボソ
「筋トレか〜HIITってやばいね。やり方はなるほどね〜、えっ有酸素運動で脳が鍛えられるの体って不思議だね」
モテない、小太り、単位取得は可ばかりでなおかつオタク気質もある残念大学生のAは恋をした。そして何の準備もなく衝動のままに告白して流れるようにフラれた。これは一人の男が自己啓発を考え出すには十分なきっかけだったのだろう。
あの悲しい経験から早二年今日も今日とて彼は歩いて帰宅する時間ももったいないとばかりによせばいいのにスマホ片手に耳にはイヤホンを付けて、ぶつぶつつぶやいていた。彼がもう少し前を、足元を気にしていたらあのような悲劇は起こらなかったのではないか。
ボソボソ「えーとなになに指示的セルフトーク?なになに独り言をつぶやくだけで集中力が増す。ハッハッさすがにこれはないだろう、、、、ぎゃーーー」
彼は穴に落ちたとてつもなく深い穴だ。そうそれはまるで別の世界に繋がっているかのような、、、深い穴に落ちながら彼は思った「これからは歩きスマホはやめよう」
目を覚ますと僕は真っ白な空間にいた。そして目の前には大理石のようなもので出来ている階段とその上に立派なイス(これがいわゆる玉座というやつかな)に腰をかけた金髪で長い髪の恐ろしく綺麗な女性がいた。
その圧倒的な美貌の前に僕は気づくと頭を下げて平伏の姿勢をとっていた。
「そこのもの面をあげよ。我はまあお前たちの概念であるところの神というやつである」
僕は顔を上げると自称神様の顔を見る、白磁のような肌、飲み込まれるかのような青い瞳。これが神か女神様なんだ。
そして女神様は玉座から立ち上がると階段降りようと一歩足を出そうとする「すってーーん、どっどっどっどっ」
女神様は足を滑らした。そしてお尻をリズミカルに打ちながら階下までやってきた。相当痛そうな落ち方である。
「いったーい。だから石できた階段とこのサンダルみたいな靴はいやなのよ。でも大丈夫、失敗なんかないこのやり方が正しくないことがわかっただけ大成功なのよ。次からは裸足で出迎えるわ」
涙ぐんだ顔で右手をグーに握って女神は力強くそう言った。確かエジソンの言葉である。その時僕の元オタクのセンサーが激しく警報を鳴らした。これがいわゆるなろう系のテンプレ駄女神ってやつではないか。さらにあまりのショックからか口調が変わっているおそらくこれが素の口調なのだろう。
(しかしそうなるとチートスキルをもらって異世界で無双してモテモテでハーレムを作る人生を歩むのか最高だな)
しかし胸をなんとなく締め付ける感覚がよぎる。
(ほんとうに、ほんとうに最高なのか?今まで少しでもいい男になって少しづつでもいい人生にしていこうとがんばってきた自分は無駄だったのか?いやいいんだこれからチートでハーレムなハッピーライフを歩んでいくんだ。)
ひとしきりお尻をさすると女神は言った
「さてそれではあなたにはこれから異世界に行って生活をしてもらいます。それじゃあ1、2、3で行きますよ。いーち、にー、さ、、」
「ちょっと待ってください。なんで僕は異世界に行くんですか?何しに行くんですか?」
女神は答えた
「トラックに轢かれたら異世界に行く、池に落としたら金と銀のになる、穴に落ちたら異世界にいくのよ。」
どうやらそういうものらしい。この世には特に理由はないことがあるのかも知れない。
「あっ忘れてたわ。神のとっておきのスキルを授けるわ何がいいかしら」
女神は思案げに首を傾げると何か素晴らしいことを思いついたらしく目を輝かせてのたまった。
「素晴らしいスキルを思いついたわ!よーく聞きなさい!そのスキルの名は指示的セルフトークよ!!!」
一瞬あっけに取られる。まさかなそんなわけないよな。ハハッ渇いた笑いが口の端から漏れる。
「分かってますよ神様、なろうの世界ではショボいスキルは大抵チートなんですよね!えーと鑑定とか、鍛治士とか、スライムとかetc」
神は厳かにのたまう
「そう!ほんとにチートスキルなの!独り言を呟くだけで集中がましてあなたの人生が上手くのよ!」
「神様それチートスキルじゃなくてライフハックですよ!」
神はさらに言い放った
「私は他の神と違ってズルっては嫌いなのです!そう小さいことを積み重ねる事が、とんでもないところへ行くただひとつの道なのよ!」
「他の神ってなんですか!?それにそれイチローの名言じゃないですか。いいこと言って誤魔化すのやめて下さい。」
言い返す僕に呆れたように手をこめかみに当て大げさに頭を振ると女神は言った
「もういいでしょう行きなさい。迷わず行けよ行けば分かるわよ!」
女神は猪木チックなセリフを言うと僕の世界はまばゆいばかりの光に包まれた。どうやらなにやらがっかり臭ハンパない僕の異世界ライフが始まりそうだ。
神の間
とある男神が先ほどの女神に話しかける。
「しかしお前、あの青年に与えたスキルほんとにあれでいいのか?他の神々はもっと強力なスキルを与えているというのに」
「いいのよ。だって彼チートスキルを与えようとした時すごく寂しそうな目をしてたもの。」
男神は言う
「あのスキルじゃあ。彼は異世界に行っても魔物に怯えるただの青年Aにしかならないだろ。何のために送ったと言うお前の責任問題になるぞ。」
自信を持って女神は答えた
「大丈夫彼はきっと示してくれるわ。正しい努力の積み重ねはいつかきっと正しい結果を生むってことをね。」
少しづつ書いて行きますのでお暇のある方お付き合いいただけますとうれしいです。
いろいろな名言を取り入れていきたいと思いますので心震える名言ありましたらご紹介よろしくお願いします!