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物語調の詩/短編

生命の樹

作者: 日浦海里

見えない手が背中を掴む

かくんと首がひとりでに頷く


背中を起点に半円だけの楕円を描いて

腕も足も垂れ下がったまま

吊り下げられた風鈴のように

ゆらりゆらりと揺らめいている


手足が互いに触れるたび

とんっどんっと音がする


揺れる人形(ひとがた)は次々と増え

藤花のように垂れ下がる


茶色、褐色、金色(こんじき)、墨色

色とりどりの花のように

流れる髪色は風に揺れて


陽に照らされて輝きながら

触れ合う音は

からんからんと

低音、高音

入り混じり

命の音を奏で始める


宵闇の訪れとともに

熟した実がひとりでに落ちるように

人形(ひとがた)は一つ、また一つと

地に落ち倒れ伏していく


地に落ちるたびに

からんからんと

乾いた音が鳴り響く


一日の終り

輝きの終り


人形が吊り下がってた場所には

夜を彩る真っ白な花が咲いていた


空一面に咲く白い花は

まだ見たことのない星の降る空にも見えた

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― 新着の感想 ―
[一言]  生命はこれから入るのか、抜け落ちたあとなのか。  受け取り方で変わるのかとは思いつつ。  音があるのにどこまでも静かで。  動きがあるのに留まっている。  相反する印象を受けました。 …
[良い点] とても独創的で素敵です。 詩に導かれて、光景が自然に浮かび上がります。 人の雰囲気が伝わり、音が響き、花がふわっと見えるようです。
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