表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王太子殿下にお譲りします  作者: 蒼あかり
恋を知らない氷の令息(マルクス編)
9/23

9

その後、無事に茶会は終わった。

問題はなかったと思う。始終アルバートとアリーシャが楽しそうに会話を続けていた。

時折アルバートが俺に会話を振ってくるので、返事を返すが正直何を話したかはよく覚えていない。


アリーシャを馬車まで送り届ける際、二人は次の約束を交わしていたようだ。

来週、王妃の茶会に呼ばれているからその後で会うらしい。

また庭園でも散策するのだろうか?それとも今日のように温室で会うのだろうか?

次回はそこに俺は含まれてはいないだろう。


一体、俺はどうしたいんだろう?




茶会の後、アルバートとルドルフと三人で執務室へと向かう。


アルはソファーに一人で座り、その向かいに俺とルドルフが並んで座る。

アルバートは上機嫌だった。よほど楽しかったらしい。


「今日は楽しかった。二人ともありがとう。感謝するよ。

アリーシャ嬢も楽しんでくれたと思うんだがどう思う?マルクス?」


「ん?ああ、彼女も楽しそうだったと思う。良かったんじゃないか?」


「やっぱり?お前がそういうなら本当だな?よかったよ。」


アルバートは顔をほころばせながら俺に目を向ける。

今はこいつの顔を見たくない。ひどく疲れた気がする。


「アル、今日来てもらったお礼状を書いたらどうだ?たまにはお前からってのもいいだろう?」

ルドルフがアルバートに言えば

「そうだな。そうするよ。また返事ももらえるだろうし、さっそく書くよ。」


そう言ってアルバートは机に向かい、引き出しから便箋セットを取り出し書き始める。



「アル、今日はそろそろ俺たち帰るわ。もう大丈夫だろう?そろそろ代わりの護衛も来るし。」

少し早い気もするが、退勤の時間近くではあるがルドルフにしては珍しいなと思ったが、

「ああ、今日はありがとう。ゆっくり休んでくれ。」

アルバートも退勤の許可をくれた。「じゃあ、」と席を立ちドアの前まで来たところで


「マルクス」と声がかかる


振り向くと、執務机に頬杖をつきながら俺を直視する瞳と目が合った。

射貫くような瞳に、逸らせない、動けない、逃げられない、ドクンと鼓動が鳴る。



「聞こえていたと思うが、来週の王妃の茶会にアリーシャ嬢が呼ばれているらしい。

その後で会う約束をした。その時、お前は来なくても良い。

二人きりで会いたいと俺が願い、彼女はそれを受けいれてくれた。

・・・・・・・・

俺が動いても良いんだろう?お前が最初に願ったことだ。」


アルバートの言葉に俺は動けないまま、声を出すことも忘れていた。


「何か問題あるか?」


「いや、、、問題はない。殿下の思うままに。」


そう言うと重い足をなんとか動かし、ドアを開け執務室を出る。

後からルドルフも部屋を出て、ガチャリとドアが閉まった。


何も考えられない。あれは誰だ?アルバート?俺は何をしたんだ?


二人でしばらく歩き、廊下の窓から外を眺める。

もうすでに辺りは暗くなり、星が煌めいていた。


「マルクス、一杯付き合わないか?たまにはいいだろう?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ