直前の旅路
まだまだすっよ。でもなるべく早くに終わらせるようにはします。
その後、二人はすぐに眠りについた。
朝日が昇ってきた頃に彼が先に起きた。二人が寝ていた環境はとてつもなく悪く、現代人には絶対に寝付けないようなものだった。だからそのような粗末な寝床に慣れているとはいえ、彼より冒険の回数の少ない友にとってはとてもキツイかった。それもあって彼が先に起きてきたのだ。
彼は起きると焚き火の火が消えていることを確認して、あたりの警戒にあたった。朝方に行動を開始する獣は少なくないため寝ている友を守るためでも警戒が必要なのだ。辺りを一通り確認し終わった彼は自分の剣を握って友の寝床に向かって行った。
友の近くに寄ると彼は鞘に入ったままの剣を腹部目掛けて一気に振り下ろした。その本気度を言い表すなら普通に骨を折る勢いだった。そして剣が当たる直前で友は間一髪のところで飛び上がりながら回避した。次の瞬間に怒号が鳴り響いた。
「バカじゃねえの?!今の骨を折る勢いだったよね?!流石にそこまではしないだろ!」
友がそう言うと彼が呆れたように口を開いた。
「何被害者ズラしてんだよ。寝たフリして諸々の手伝いをしなかったのお前だろ。」
そう、友は起きていたのだ。細く言うと友が起きたのは彼が起きてからしばらく経った頃だった。
それなら手伝えないのは必然じゃないかって?そうじゃない。説明しなかったが彼は周りを見渡している時に30分ほど、刃こぼれなどの確認などを含めて剣を振っていたのだ。
そして友が起きたのはその剣の確認が終わった後だ。彼が忙しなく動いている時に友は「面倒臭い」と思い、寝たフリをしていたのだ。
彼は友と冒険すること自体は初めてではないので友がサボることをよく知っていた。だから注意深く見張っていたのだ。
そうして彼に叩き起こされた友は颯爽と出発の準備を始めた。
彼らの寝床は粗末でそこらへんの木々を集めただけのものなので出発の準備は意外と早く終わった。
準備が一通り終わった彼らは深い森に入って行くのだった。
森を歩いて3時間の場所に洞窟がある。今彼らはそこに向かっているのだが一つの問題点があった。
”猛獣が多い”
そう、猛獣が多いのだ。決して勝てないとか、いつも痛手を負うとかではなかった。ただ多い。ほっっっんとに多い。
彼ら二人にかかれば猛獣程度1分以内で片がつくのだ。にしても数が多い。一度に多く来るとかではなく一回ずつ五分おき程度なので幸い、ピンチになることはなかった。
しかし、数が多い。一時間歩いたところで討伐数は五十体を超えていただろう。それが後3回続くと思うととても気が重かった。そんな邪念を振り払うように今彼らの目の前にいる猛獣に集中する。基本的な陣形は二人のどちらかが敵の動きを誘導し、必要なら猛獣の攻撃を受け流したりする。そうして一人が作った隙をもう一人がメタメタに攻撃すると言うシンプルなものだ。実際それだけでもう六十体以上倒している。少し自分は強いのでは?と思い上がったりするが騎士見習いたちの実力を考えるととてもそんな気分にはなれなかった。
騎士見習いたちは今まで彼ら二人がやってきたことを人でやるのだ。そしてもっと素早く。
まあ、そんな彼らのことを考えるとこれから行くところにいる化け物のことが浮かんできて今すぐに帰りたい気分になるので、すぐにその思考を切り捨てた。
そんなことを友と共有しながら歩いているとふとした瞬間に気がついた。
歩き始めて二時間半あたりから猛獣が出てこなくなっていた。ましてや小動物なども見かけていない。
次もよろしく。できれば感想とか評価とかおなしゃーす。