表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
縁が紡ぐ異世界譚  作者: 龍乃 響
78/176

第77話

 俺は早速、バランタインさんに状況を尋ねる。

「どんな感じですか?何か悪乗りしてるようにしか見えませんが」

「うむ。やはり魔法に秀でており、本人もそれを自負しているようでな。魔法を使わせている限りはあの調子だ。最初の時よりはマシだろうて」

 まあ進歩の見られない近接戦よりは、レベルが上がっている分良いのだろう。

「何じゃユートよ、何なら再戦するか?今なら儂が勝つぞ!」

 ファルナはどうやら自信満々だ。

「…どの位強くなったんですか?」

「レベルが倍程度か。魔法の威力は相当増している。だがお前の竜人体なら余裕だ。今のままでも、懐に入り込めれば勝ちだろう」

「となると、水竜王を名乗るには未だ弱いですね」

「そうだな。精霊と同等で竜族の最低ラインだ。八大竜王なら神霊と並ばなくてはな」

 今回の特訓では、流石に其処までは到達出来ないだろう。成長後に狩りを頑張って貰うしか無いか。

「じゃあ、そのまま特訓を続けていて下さい。俺はちょっとやりたい事があるので、隅の方を使わせて貰います」

「承知した。ファルナよ、続けるぞ」

「おお、任せておくが良い!」

 俺はそのまま部屋の隅へ行く。シャルトーさんに教わった、竜玉に服を収納し、引き出す方法を試してみるのだ。

 あくまで感覚的な説明だったのだが、竜になる時は竜玉に服が吸い込まれるイメージをするらしい。そして竜人体になる時は、竜玉から服を引き出すイメージをするそうだ。

 俺の場合は、収納と引き出しを同時にやる必要がある。今着ている服を収納し、収納していた服を引き出すのだ。

 まずは今の状態から竜人体になる際に、着ている服を収納する所からだ。

 身体強化の魔力濃度を上げながら、竜玉に服が吸い込まれるイメージを強く持つ。

 身体が赤く光り、竜人体になった。服は…着ていない。裸だ。思ったより簡単に成功したようだ。

 俺は荷物から竜人体用の服を取り出し、着用する。問題は次だ。

 身体強化の魔力を落としながら、同様に竜玉に服が吸い込まれるイメージを、そして竜玉に収納してある服を引き出すイメージを強く持つ。

 光が収まり、元の姿に戻る。自分を見ると、収納していた服を着ている。成功だ。

 これで竜人体になる時に、着替えを気にする必要が無くなる。中々便利だ。

 念のため、暫く何度か竜人体になり、元に戻る事を繰り返す。結果、全て問題無く成功した。これで大丈夫だろう。

「バランタインさん、俺の用事は済んだので戻りますね。後は宜しくお願いします」

「任せておけ。気が向いたらまた様子を見に来い」

 俺はその言葉を聞き、部屋を出た。


 バランタインさんとファルナを除いた全員で、夕食を囲む。相変わらずマーテルさんの食事は美味しい。

 そしてお風呂に入り、宛がわれた部屋に入る。

 すると、ベッドにアンバーさんが座って居た。

「…作戦通り」

「いや、いきなり作戦ってバラすんですか?」

 アイリさんと組んでの作戦だろう。まさかこう来るとは。

「理由はある。私が最初、アルトが2番目。今のままだと、アルトが待ち続ける事になる」

「…その順番は、何ですか?」

「…子作り」

 そう来たか。ネタで繰り返しているのかとも思っていたが、どうやら本気だったようだ。

 だがそうか。身分上アルトが正妻だが、そっちの順番は年齢順か。

 既に2人とは婚約し、近々結婚するのだ。いい加減俺も、覚悟して踏み込む必要があるのだろう。

 俺はアンバーさんに近付き、その身体をしっかりと抱き締める。

「…ユート」

 アンバーさんが俺の耳元で呟く。

「俺も不慣れですけど、大事にしますから」

「…ん、大丈夫」

 そうして、俺達は2人でベッドに倒れ込んだ。


 翌朝。俺はいつも通りの頃合いに目を覚ます。

 ふと横を見ると、アンバーさんは未だ眠っている。穏やかな寝顔。

 冷静になると、これはかなり気恥ずかしい。と言うか、1人で起きて良いのか?それともアンバーさんが起きるまで待つべきか?

 などと考えていると、丁度アンバーさんが目を覚ました。

「…ユート、お早う」

 そう言うアンバーさんも照れ臭いのか、顔が赤い。

「ああ、お早う」

 …さて。

 今はお互い裸だ。俺は先にベッドから出て着替える。

 そして気を利かせ、アンバーさんに言った。

「俺は先に部屋を出てるから。ゆっくり着替えて」

「…見ないの?」

「朝っぱらから何を言ってるんですか。歯止めが効かなくなるので駄目です。他人の家なんですから」

「…そう。判った」

 納得してくれたようなので、俺は部屋を出る。


 すると、アイリさんが意味有り気な笑みを浮かべていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ