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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

くっころオークはエルフに勝てないです。

オーク「くっ、殺せ!」、エルフ「好きだ」 シリアス版

作者: デューク

感想頂き嬉しかったので似た作品をあげています。

そちらはライトな感じなので良かった見ていってください。



ある森でのありそうでない物語。




俺ははぐれオークだ。村が人類のクソ冒険者に襲われた。オークって奴はどうも人類に嫌われてるらしい。別に俺たちの村は人類なんて襲ったことなんてないんだかな。


俺は森で倒れている女の子を助けた。聞くところによると奴隷商に捕まり逃げたが疲れて動けなくなったとか。

耳が長く綺麗な金髪で緑の瞳、なんでもエルフって言う人類の一種らしい。そいつは助けたお礼と言って薬草や果実なんかの森の恵を教えてくれた。


今までは動物を囲んで叩くしか出来なかった俺達は喜んだ。しかも、弓なんて物まで作り一人でも狩りができるようにもなった。


俺が助けたのなんて目じゃないくらいの恩返しをしてくれた。村のみんなはそれはもうそのエルフを村にやってきた女神だと大切にした。妻や実の娘より大切にする奴まで出る始末。皆、幸せだった。



しかし、災いは知らぬ間に迫っていた。


俺が運が良かった。たまたま狩りにてこずり怪我をした。そこで村から少し離れた泉で血を洗い流し手当てをしていた。


そして、帰る途中に森に悲鳴や何か崩れる音がけたたましく響いた。急いで村の方に向かったが遠目に見ても村が襲われてることに気がついた。


倒れているのは村のみんな。物作りのおやっさんや加工のあねさん、こないだ結婚した家の兄夫婦。明らかに死んでいる村のみんなを置いて俺は逃げ出した。





こうして俺ははぐれオークとなった俺は人類が怖くなり、凶暴な動物も多くなるこの森奥でひっそりと暮らすことにした。


幸いにも俺はおやっさんやあねさん達を手伝ったり狩りをよくしていたので何とかなっている。あのエルフ娘に教わった事は今日生きる糧になっている。


そんなある日の事。いつも仕掛けている罠が壊されてた。これは動物が壊せるような代物ではなくあのエルフ娘から教わった物だ。


俺は怖くなりゆっくりと音を立てないように警戒し、自分の建てた小屋へと帰る。そしてやっぱり仕掛けた罠は尽く壊されていた。


小屋に辿り着くと周りには侵入者はいない。しかし、小屋に入るのは気が引けて辺りを散策する。侵入者は見つからず日も暮れてきて辺りの闇が深くなってしまったので仕方なく小屋に入る。そして、気を張って疲れたいのだろう。俺はいつの間に寝ていた。





そして、起きた時に違和感あった。両手両足を縛られていて身動き取れない。何とか体を起こした時に見つけたのはあの金髪で緑の瞳が俺を見ていた。


「お久しぶりですね。お兄さん」


相変わらず小鳥の囀りのような可愛らしい声で俺に向かい微笑んでいる。


「お、おい!生きていたのか!……てっきり、あの時に……」


そう言うとエルフは今にも泣き出しそうに俯いてしまった。そして、ポツリポツリとあの時の村襲撃の話をする。



なんでも行方不明のエルフの捜索願いだったとか。元々、エルフって奴は自分達の部族を溺愛するらしい。同じエルフでも他部族なら平気で見捨て同じ部族なら死体が見つかるまで捜索を諦めない。


そうあのエルフの兄だったらしい。そいつは妹を自分達の村に連れ帰るために冒険者になり、情報を探した。

やがて奴隷商に辿り着き逃げ出した事を知る。ちなみにこの奴隷商は殺したらしい。


そこで一番近くの森での妹を見つける依頼を出した。クソ依頼だと村に来ていた冒険者はぼやいていたが金が高くなけりゃ絶対やんねえとも言っていた。


そんなこんなで俺たちの村を見つけエルフがいて奴隷にされてると思った兄エルフと冒険者達は村を襲撃した。人類となんて戦った事のない俺たちが勝てるはずも無く全滅した。






「つまり、最終的には君が原因で村が滅んだのか」


そう、俺は呟いた。小さく呟いたが耳に届いたらしく頻りにごめんなさいと言っている。


確かにここにきた時は人類を恨んだ。世界など消えてしまえとも思った。しかし、森奥は過酷で生きるの必死だった。それに随分と一人で過ごし、いつの間に怒りなど忘れてしまっていた。


しかし、こう改めて真実を告げられると怒りが湧いてくる。目の前の女も放っておいてくれたらひっそりと暮らせたのに。またしてもお前は俺から平穏を奪うのかと。


「……それで今更そんな事を言いにこんな所まできたのか?お前は」


前はもっと和やかに話せただろうが今はもう無理だ。こんな奴助けなければ良かったとも思う。がコイツは俺の目を見て、


「こんな事言う資格はないのは分かっています。でも……私は貴方が好きです」


目の前がかっと赤くなる。


「ふざけるな!お前の……お前のせいで村のみんなは!……おやっさんや兄貴達は死んだんだぞ!帰れ!」


今すぐにでも殴り倒したい。しかし、手足が動かせないので罵声を浴びせる。どうやら目の前のコイツは女神ではなく疫病神だったみたいだ。未だに俺を苦しめるのか。


コイツは目に涙を浮かべてこちらを見る。そしてゆっくりと俺に近づき…


チュ、


俺の唇へとキスをする。そして震えながら呟く。


「奴隷商に捕まった時は人類を皆殺しにしたいと思ってました。お兄さんもはじめは怖かったけど、ご飯をくれて暖かく迎えてくれて本当に幸せでした」


「俺は!俺達は!お前のせいでみんな死んだんだ!俺の……俺のせいで!みんなは!」


俺は泣いていた。みんなが死に、ここに逃げてきた時も泣いたがあの時乾いたと思った涙は今も流れている。





どれくらい経っただろうか。……いや、本当はそんなに時間は進んでいないのかもしれない。俺はもう……


「……帰ってくれ……お願いだ……もう放っておいてくれ」


「いやです。大好きなんです」


「っ、っくっ、殺せ!もう嫌なんだ!うぶっ!」


いきなりキスをして唇を塞がれた。


「っぷはぁ、絶対に嫌です。お兄さんを絶対に連れて帰るんです」


焦点の定まっていない目でこちらを見る。死んだ目をしながら俺を見つめている。


「恨まれてもいい。憎んでもいい。許してくれなくていい。私の傍にいてください。村落に帰ってみんな迎えてくれました。他の誰かを好きになろうとしました。でもダメなんです。満たされてないんです。あの時お兄さんが死んでないのは分かってました。だからお兄さんを探しました。もし死んでいたら……私も死のうと思ってました」


「……」


「私はオークの……あの村のみんなが家族だったんです。分かってるんです!私はエルフだって。でも愛せないんです!貴方が好きなんです!」


それは彼女の慟哭だった。同族を愛して同族と結婚して同族を繁栄する。それが当たり前である。奴隷商に捕まりボロボロにされる恐怖から解放されて暖かく迎えてくれた新しい居場所は自分のせいで崩れさる。本来いるべき場所にいても馴染めない。彼女を理解できる者はいないだろう。


「お願いです。時間をください。また貴方と過ごして子を生し少しの間一緒にいて下さい。それでもエルフが……私が憎くて許せないのなら貴方の手で私を終わらせてください。これが最後のお願いです」












結局、俺はエルフの村落にお持ち帰りされてしまった。もちろん、歓迎されなかった。しかし、俺と一緒に過ごしていく中で次第に受け入れてくれる人も増えていった。

彼女の兄は最初から反応が違っていた。妹を助けてくれた恩人やその周囲の人にとった行動は彼自身が許せないらしい。妹のオークが好きと言うのは理解できないが迷惑をかけた分の償いを一生かけてするつもりなのだ。


そして、


「旦那様、今日は一緒に寝たいです」


最初から受け入れられたわけではないが時が経つにつれて許せるようになった。彼女とは結婚して、ついこの先日二人目の子供を産んだ。


「どうしたんだ?急に。というか今日もだろ?」


「だって、今日、村の子に求婚されてたじゃないですか!」


そう、そうなのだ。どうやら盗賊が拠点を作ろうとしてたらしくそこに捕まった子を助けたのだが、好きになってしまったらしい。ヤケになった盗賊が拠点にしてた遺跡を壊して崩れる遺跡から抱きしめて守った時にキュンとしたらしい。


ちなみにこの部族は一夫多妻、多夫一妻どちらもアリらしい。条件はあるが。


「断ったじゃないか。俺には最愛の妻がいるかって」


「うぐっ、で、でも、あの子絶対諦めてなかったよ」


「仕方ないって、若気の至りって奴でしょう」


「しかも!最近娘も離れないじゃないですか!この前なんて『パパって、カッコいいよね。お姫様抱っこしてくれたんだよ』だって!私もアレはキュンってなるけど!」


うん、まぁなんというかうちの妻は少し残念感が出てきたがここまで元気になって良かったと思う。


「ふふ、いいです。大丈夫です。私が一番なんです。……一番じゃなくなったなら……」


……良かったのかな?











 







お疲れ様でした。

あらすじにある通りオークにくっころ言わせたいが為に考えたお話で書いてる内にいつの間にかシリアスが追加された。おっかしいなー。もっとアホみたいな話にする予定だったんだけど。。


あとは書いてない裏設定。


エルフは部族以外には冷たいは実は違っていて、好きになったらとことん好きになります。故に自部族>他になるんですね。そして好きの感情が一番増えるのは大人になって何かイベントが起きると爆発します。

この話では奴隷商から逃げた後のヒロイン、お姫様抱っこの実娘、盗賊から救われて子、そのタイミングで起こってます。


ちなみにヒロインがエルフを愛せないのは好感度MAXが長く、深くオーク村を愛した後だった為。


オークは別に臭くないです。むしろ綺麗好きであり臭い奴は徹底的に洗われます。オークの匂いは受けて側が好きな場合にはかなり強烈な媚薬的効果があります。


そして基本的に優しい種族である。仏の顔も3度までタイプであり、カウントが増えると態度が変わっていき3回超えるとパワーアップして体が赤くなりオーガとも呼ばれる。それ以降はかなり好戦的で残虐なる。ヒロインはカウント1ですね。



それはさておきもう一回頑張ってくっころオーク描く予定です。


P.S 前書きにある通り書きました。そして、そっちにも感想が来たので調子に乗ってもう一つ似た題材で書きます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 役割逆転しているとはいえ、ストレートでステキなお話でした。 寿命的にどうかはわかりませんがいつまでもイチャラブしてて欲しいですね。 個人的にはノクターンの「お前はまだオークを知らない」とか…
感想一覧
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