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しっぽなき猫  作者: 風来星楽
しっぽなき猫の冒険
1/7

はじまり……

 僕は、数日前まで家でゴロゴロしていて、幸せな生活を送っていた。なのに今は、どこか分らないところに捨てられ、もしゴロゴロしていたら自転車や自動車に轢かれてしまう。ここは、とても寒い。お腹も空いている。食べ物がないかと毎日探し歩いている。でも、見つかりやしない。ここ最近、“誰か拾ってくれないかな”と思うようになった。だけど、拾ってくれるはずがない。だって、僕は、かわいくもないし、きたないし、誰が拾おうと思うものか。それに加え、僕には、しっぽが無いんだから――――。

 なぜ、しっぽを失ったのかは鮮明には覚えていない。でも、人間に傷つけられたことはかすかに覚えている。そのときは、とても痛く、つらかった。だから、そいつを噛みついたり、バリかいたりした。僕には、そのあとの記憶がない。気づいたら、森に囲まれた町の民家の前にいた。そこは、小川のせせらぎが聞こえ、鳥も鳴いていた。だが、どこに行けばよいのか分からなかった。そんなとき、ある家族がこちらに向かって歩いてきた。少し怖くなった。僕は、逃げようとした。そのとき、「待って」と言う声が聞こえた。僕が振り向くと、女の子が「やっぱ、かわいいね。」と言った。そのとき、後ろから僕のお腹に手が当たった。僕は驚いた。なぜなら僕を持ち上げてくれたからだ。僕をおろすと、その家族は、僕がいた民家に入っていった…。



持ち上げられるなんて一度も考えた事がなかった。僕は、人間に傷つけられた。だから、人間が嫌いだ。だけど、この家族は、“優しい”。だから、今、恨んでいるのは、人間じゃない、僕を傷つけた“あの人“を恨んでいる。だって、こんな姿になったのも”あの人“のせいなんだ。探し出して猫パンチでもくらわしてやる、そう思った。

僕は、かわいがってくれる人をばりかいたこともあった。だから、捨てられたのか。いや、醜いから捨てられたのか。だけれど、今はまったく分からない、分かりたくない。“あの人”を探すまでは…。

こうして、ただ一匹の猫の旅は始まるのであった―――。










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