第4話 ぷかぷか孤島と大精霊
今回はちょっと長めです。
夜が明けました。やっぱり昨日の夜は満月で地球よりもかなり大きなお月様がのぼっていました。
『よーーっしゃぁぁぁ! ガラポンだァァ!』
やっぱりガチャとか抽選とかってなんか気分が上がるよね! 前世でもソシャゲは確率が悪くてもガチャで強力なキャラを入手するゲームが好きだった。その名残なのかなぁ。
まぁ、そんなどうでもいいことはこれぐらいにしておこう。俺はスキルを使用した。
『ガラポン』
チリリリリーン! 3等でーす!
3等はなんと!体長が縦横10メートル伸びて、ランダムで施設が設置されます! 施設は設置物とは違うので取り外してしまうともう二度と設置できませんのでご注意を!!
おぉ! 3等ってなかなかの当たりじゃね? それに今までレベルアップでしか伸びなかった体長が一気に10メートルも伸びるのは有難い! でも施設も抽選かい。まぁ、固定じゃないのは3等が何回か出ても大丈夫なようにっていう救済処置だろうな。
ボン! おっ、施設が置かれたのかな。監視カメラで確認してみると確かに俺はかなりでかくなっていた。そしてその10メートルの大半は芝生になっているようだ。
砂浜や崖の範囲は変わってない。多分砂浜と崖は範囲が決まっているけど芝生は決まっていないのだろう。こちらとしても崖や砂浜が伸びるよりは芝生の範囲が広まってくれた方がありがたい。
その方が見栄えもいいし、加工もしやすいからね。
そして、肝心の施設はなんだろう。んっ?崖の方になんか出来てるみたいだな。あれかな? そう考え、俺は崖の方に監視カメラを操作する。
うおお!すげぇ!サスペンスで見た事あるぞこの崖! ってぐらい本格的な崖の上には何やらゲートのようなものがあった。俺はそれを鑑定で調べた。
ゲート:施設。この世界のあらゆる場所にあるあらゆるゲートと繋がっている。どこに出るかは運次第。なお、精霊など極一部の種族は行き先を指定することができる。No.666
これでもしかしたら俺の島に誰かがやってくるかもしれないんだな!などと盛り上がってきたら早速ちびっこ精霊たちがゲートをくぐってやってきた。
「おいしそうな匂いがするですぅー!」
「あまぁーい匂いにつられちゃったぁー!」
飛び出してきた精霊は2人。2人は芝生の方へ向かっていった。今は瓶で流されてきた精霊達も食事をしているみたいだからすぐに合流するだろう。仲良くなってくれるといいな。
テケテケテン! レベルが上がりました! 報酬として設置物:川を手に入れました! 体長が縦横1メートルずつ伸びます。
テケテケテン! レベルが上がりました! 報酬として設置物:井戸を手に入れました! 体長が縦横1メートルずつ伸びます。
精霊が2人入ってきて2レベルあがったから1人につき1レベル上がったのか。すごい効率だな。頑張ってもっと精霊たちの来たくなるような島を作らなきゃ!
あと、もう池を設置しても良さそうだな。半径5mもあるから島がドーナツ状になっちゃうけどそれでもやっぱり入手したものは設置したい。
てことで少しだけ設置物の配置を変えた。まずは島の中心に池を置き、その中央に小さな島をつくり、そこにヤシの木を置いた。やっぱりこの島にはコイツがかかせない。お前だけは死ぬまで守ってやるからな!
そして、池の周りには芝生を敷き詰めた。そしてその芝生の適当なところに精霊石を置いた。精霊達も気に入ってくれているようなので大丈夫だと思う。砂浜と崖の範囲や位置は変わっていない。砂浜はどうやら俺の体の範囲を超えてまで及んでいるようだ。まぁ、砂浜ってのはそういうもんか。
でも、俺って浮いてるんだよな。砂浜は一体どこに繋がってるんだろう。範囲を超えたらいきなり今まであった砂浜が無くなって足のつかないところに放り出されたらたまったもんじゃないな。
また今度偵察しておこう。
そんなことを考えながら俺は昨日と同じように漂流物を求め、漂流する。
ピロリンピロリン!砂浜に漂流物が流れ着きました!
おっ!早速来たぞ!早速開封だ!
パカッ!ジャンジャカジャ、ジャンジャンジャジャーン! 大精霊像を入手しました! 大精霊像を設置しました!
おっ、おう! なんか壮大な音楽とともに綺麗な女の人の像が飛び出てきた。そしてそのまま精霊石の横に設置された。ご飯を食べていた精霊達は目をまんまるにして驚いていたが、その後バンザイしながら喜んでいた。
「わーい!わーい!すごいのです! 大精霊様なのです!」
「しゅごーい!しゅごーい!」
などとみんな喜んでいた。あんだけすごい音がなったんだ。効果を期待してもいいだろう。そう思い俺は大精霊像に鑑定をかける。
大精霊像:木の大精霊の像。よく出来ていて、唯一無二である。胸にパッドを入れている時の像。これのある場所は精霊達にとっての聖地、そして精霊の住まうべき場所となる。木の大精霊が遊びに来るようになる。
このまな板め!
最後に殴り書きで書いてある文字は無視しよう。なるほどー、精霊達にとってはかなり重要な品物なんだな。
「孤島さんありがとう! これでここに住めるよー! ねぇねぇ、住んでもいいー?」
初期精霊のうちの1人がそう聞いてきたので俺が『いいよー』と答えたらみんな喜んで住み着くことにしていた。俺も1人じゃ寂しいからな。精霊達がいてくれるだけでも随分と寂しさが紛れる。
ピロンピロン! 島にゲートから来客が現れました。
あれ? さっきちびっこ精霊がやってきた時はそんなのならなかったのにな。まぁいいや、様子を見に行こう。と思ったらその来客は既にヤシの木の前で何やら喋りかけていた。
監視カメラを近づけてみると
「こんちにわ。私は木の大精霊。あなたは?」
とか言っていた。ヤシの木って大精霊と喋れるんだなぁと感心していると、いきなり大精霊が地面を思いっきり踏みつけた。いってぇ!なんてことしやがるこの大パッドが!
「ねぇ! 早く返事しなさい! 大精霊である私に返事も出来ないのかしら! ほら!早く声を出しなさい!」
こいつヤシの木に何言ってんだ? ヤシの木が喋るわけねぇだろ。こいつ馬鹿だ。
「はやく返事をしなさいって言ってんの!あんたがこの島の管理人なんでしょーが! 」
あっ、なんか勘違いしてる。っていってぇ!だから地面を思いっきり踏むな! しょうがないので俺が相手をする。
『えーっと、誰だっけ、パッドの大精霊でしたっけ? 私がこの島の管理人というかそのものです。ちなみにそのヤシの木はただの木なので返事はしません。』
その事実を伝えると大精霊は一旦固まってその後顔がどんどん真っ赤に染まっていった。今どんな気持ちなんだろう。素直に知りたい。
「あ、あっ、アンタのせいで恥かいちゃったじゃない!あとパッドの精霊って何よ!!私は木の大精霊よ!」
『いや、でもあなたの像を鑑定したらパッドだって・・・』
「うっさいわ!ハゲ!」
カッチーン! はい、私今カッチーンと来ました。もう許さない。俺の親父が毛が薄かったから俺は遺伝をめちゃくちゃ恐れてた。そんな俺にハゲだと?ふざけんな!
『はっ?まな板がちょうしのってんじゃねぇよ!』
「まっ、まな板じゃないわよ! 玉ねぎが切りにくくなるくらいはあるわよ!」
『はっ!どうだかな!鑑定にはまな板って書いてあったぞ。膨らみすらないんじゃねぇか?』
「くっ、くぅぅぅ!!」
そんな口喧嘩をしているとそこにさっきまで食事を取っていた4人の精霊がやってきた。
「大精霊様! ここのマナすごく美味しいんです! 一緒に食べよぉー!」
「えっ、あっ、ええ! いいわよ。行きましょうか。」
そう言うと大精霊はヤシの木をひと睨みしてから精霊石へと向かった。
いちいちムカつくやつだ。そうだ!少し嫌がらせをしてやろう! あのちびっこ精霊たちがマナを精霊石から吸い出す感覚は掴んだから、自分でもマナを出したり、出さなかったりできるだろう。よし、やってみよう!
大精霊と精霊達は精霊石に吸い付く。しかし、マナが出ない。
「あれ?おかしいのです。マナが出てこないのです。」
『それはね、大精霊が僕に意地悪をしたからなんだ。だから謝ってくれるまでマナは出さないよ。』
「えーっ!それは困るのです!大精霊様!謝って下さいです!」
「謝りぇー!」
「そうだそうだー!」
「えっ、そんなことしてないわよ!それに私は別にもっとマナが美味しいところ知ってるし!」
そう来ると思いましたよ!俺は踏ん張って特濃にしたマナを精霊石から少しだけ排出する。すると大精霊や精霊達のヨダレが口から溢れ出る。
「はやく!はやく謝るのです!じゃないとこのマナをもう二度と食べりゃれないのれす!」
「「「はやくーー!」」」
「くっ、くそぅ! こんな島ごときに私が謝らなきゃならないなんてっっ!! それも敗北の理由が食欲だなんて!! あーーー!もういいわよ!ごめんなさい!!私が悪かったです! だ、だからマナを食べさせてください!」
『うむ、仕方ない。許そう。』
勝った!勝ったぞ!って、えっ?皆さんちょっとマナ吸いすぎじゃない? いや、確かにお預けにした俺も悪かったよ?でもちょっと吸うマナの量多過ぎない? あっ、なんか体が寒くなってきた。あぁ、意識が・・・
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