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楽園世界のヴァルキュリア―黎明の少女達―  作者: 愛崎 四葉
第二章 ヴァルキュリア編・後編
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第二十七話 抗った結果

 ルチアの反応を見たヴィオレットは、視線を凝らす。

 冷静に。


「本当だ。ヴァルキュリア候補だ」


「わかるのか?」


「うん、腕輪の力を感じるの」


「ヴァルキュリア候補は、腕輪をつけられているからな。逃げ出さないために……」


 ヴィオレットも、気付いたらしい。

 フードをかぶった者たちが、ヴァルキュリア候補であると。

 クロスは、驚きを隠せないようだ。

 クロスとクロウは、見抜けなかった。

 彼女達が、何者であるかを。

 ルチアは、静かに答えた。

 実は、腕輪から力を感じるのだ。

 ヴァルキュリア候補を見つける為に、施されたものであり、これを知っている者は、ヴァルキュリアだけであった。

 自分達も身に着けていた。

 逃げさないようにするために。

 ヴァルキュリア候補の時は、腕輪から力が放たれている事は知らなかった。

 腕輪が、自分達を捕らえることぐらいしか。

 だが、ヴァルキュリアになった後に聞かされたのだ。

 ゆえに、彼女達は、知らないのであろう。

 腕輪から放たれる力の事を。


「どうする?クロウ」


「尾行する。ここでは、分が悪い」


「わかった」


 クロスは、クロウに問いかける。

 冷静な答えを導いてくれると信じて。

 クロウは、彼女達を尾行する事を決めたようだ。 

 ここで、捕らえようとすれば、確実に、レジスタンスのメンバーが、出てきてしまうだろう。

 今回の目的は、彼女達を捕らえる事だ。

 レジスタンスと戦うつもりはない。

 命を奪いたくなかったのだ。

 クロスは、静かにうなずいた。


「行くぞ」


 クロウは、歩き始める。

 気配を消して。

 ルチア達も、続いて、歩き始めた。

 ヴァルキュリア候補を尾行する為に。



 ルチア達は、尾行を続けた。

 ヴァルキュリア候補は、入り組んだ裏路地を歩いている。 

 どこへ行くつもりかは、不明だが。


「ここまで来れば、大丈夫だ」


「うん。レジスタンスの奴らも、いないみたいだしね」


 酒場からは、遠ざかった。

 だからこそ、動くなら、今が、チャンスだとクロウは、言いたいのだろう。

 クロスも、同じことを考えていたようで、うなずいた。


「このまま、捕らえるか?」


「いや、挟み撃ちにする」


 クロスは、クロウに判断をゆだねる。

 クロウは、このまま、捕らえず、挟み撃ちにするつもりのようだ。

 確実に、捕らえる為であろう。

 ヴァルキュリア候補と言えど、相手は、三人だ。

 実力も、帝国兵よりは上である。

 ゆえに、油断できない相手であった。


「なら、俺が、裏手に回る。ヴィオレット、ついてきてくれる?」


「いいが、なぜ、私だ?」


「ヴィオレットは、冷静だから。俺、そう言うの苦手で、いつも、クロウに任せっきりなんだ」


「……わかった」


 クロスは、ヴィオレットに尋ねる。

 裏手に回るつもりだが、ヴィオレットも、連れていこうとしているようだ。

 だが、なぜ、自分なのだろうか。

 ヴィオレットは、見当もつかないようで、尋ねた。

 クロス曰く、冷静に判断できるからだという。

 クロウもいるが、ルチア達を守るために二手に分かれたほうがいいと判断したのだろう。

 クロスは、苦手だというが、クロスも、冷静さを失っていないように見える。

 それでも、ヴィオレットは、うなずいた。

 クロスの指示に従うつもりだ。

 ヴィオレットとクロスは、静かに、ルチア達と別れた。


「俺達は、このまま、尾行する。ルチア、気をつけろ」


「うん、ありがとう」


 クロウは、ルチアを気遣う。

 不器用だが、本当に、優しい。

 ルチアは、クロウの優しさに、気付き、お礼を言うが、クロウは、照れたのか、ルチアから目をそらして、進み始めた。

 すると、ルチアは、胸に手を当てる。

 心配しているのだろう。

 自分の体調は、まだ、大丈夫だろうかと。

 眩暈が起こらないといいのだが。

 幸い、薬の効果は、継続している。

 ゆえに、ルチアは、今の所、眩暈が起こる可能性は、低い。

 それでも、十分に、注意して、進まなければならなかった。

 ルチア達は、静かに、尾行していた。

 なるべく、遠くから、気配を消して。


「ねぇ、あの人達……」


「うん、わかってる」


 尾行されていた彼女達は、気付いたようだ。

 ルチア達は、気付かれないように、距離を取っている。

 それでも、気配を察してしまうのだろう。

 緑の髪の少女は、不安に駆られ、青い髪の少女に問いかけるが、青い髪の少女は、静かに、うなずいた。


「どうするの?」


「少し、早く、歩こう」


 黄色い髪の少女も、不安に駆られているようだ。

 青い髪の少女は、少し、スピードを上げて、歩こうと提案した。

 走れば、追ってくるであろう。

 うまくまくには少しずつ、スピードを上げて、逃げるしかないようだ。

 青い髪の少女の提案に、二人は、うなずき、少々、スピードを上げて、歩き始めた。


「あ……」


「気付かれたな。このまま、追うぞ」


「うん」


 ルチアは、気付いたようだ。

 わずかにスピードが上がっただけなのだが。

 クロウも、気付いたらしい。

 だが、追いかけようとはしなかった。

 このまま、追いかければ、逃げてしまうだろう。

 ルチアも、うなずき、二人も、スピードを少し、上げて、歩き始めた。

 だが、やはり、気付かれていた事に気付いたようだ。

 青い髪の少女達は、すぐさま、走りだす。

 ルチア達も、走って、彼女達を追いかけた。

 必死に逃げる青い髪の少女達。

 だが、その時であった。

 ヴィオレットとクロスが、青い髪の少女達の前に現れたのは。


「っ!!」


 青い髪の少女達は、立ち止まり、顔を引きつらせる。

 危機感を感じているのだろう。


「逃がさないぞ」


「ヴィオレット様……」


 ヴィオレットは、短剣を懐から、取り出し、青い髪の少女達に向けた。

 抵抗しようとするならば、構わず、斬ると言いたいのだろう。

 青い髪の少女達は、抵抗できず、立ち止まっていた。


「やっぱり、そうだったんだね」


「ルチア様……」


 ルチアは、少女達に声をかける。

 青い髪の少女は、驚き、振り向いた。

 まさか、ルチアもいるとは、思いもよらなかったのだろう。


「どうして、逃げ出したの?」


「……」


 ルチアは、彼女達に問いかける。 

 今でも、信じられないのだろう。

 なぜ、逃げ出したのか。

 だが、青い髪の少女達は、答えようとしなかった。

 黙秘するつもりなのだろうか。


「答えろ」


 ヴィオレットが、彼女達をにらみつけ、問いただす。

 答えなければ、斬ると、言わんばかりに。

 追い詰められた三人の少女達。

 すると、青い髪の少女の体が、震え始めた。

 恐怖に怯えているかのように。


「あなた達は、何も知らないんです!!あの方々の正体を!!」


「あの方々?」


 青い髪の少女は、怯えながら、訴える。

 だが、「あの方々」とは、いったい誰の事なのだろうか。

 何も知らないルチアとヴィオレットは、思考を巡らせるが、見当もつかない。 

 ゆえに、ルチアは、問いかけた。


「セレスティーナ様達の事です!!あの方々は……」


 なんと、「あの方々」とは、セレスティーナ達の事のようだ。

 おそらく、セレスティーナ、ライム、ベアトリスの三人の事を指しているのだろう。

 何があったというのだろうか。

 ルチア達が、疑問を抱く中、青い髪の少女は、語ろうとする。

 セレスティーナ達の本性を。

 だが、その時であった。


「っ!!」


「どうした!?」


 青い髪の少女達は、目を見開き、うずくまる。

 苦しんでいるかのようだ。

 ヴィオレットは、駆け寄ろうとするが、クロスが、止めた。

 危険を感じたのだろう。


「あ、ああ……」


 青い髪の少女達が、体を震わせる。

 一体、どうしたのだろうか。

 ルチアも、慌てて、駆け寄ろうとするが、クロウが、ルチアの腕をつかんで、止めた。


「待て!!様子がおかしい」


「でも!!」


 クロウが、ルチアを止めた。

 だが、ルチアは、青い髪の少女達の元に行こうとしている。

 彼女達が、心配なのだろう。

 それでも、クロウは、腕を離そうとしなかった。

 ルチアを守るために。


「ああああっ!!」


「あれは、腕輪?」


 青い髪の少女達は、まだ、苦しんでいる。

 その時だ。

 腕輪が、光り始めたのは。

 ヴィオレットは、その異変に気付いた。

 腕輪が、彼女達を殺そうとしているのだろうか。

 それにしても、タイミングがおかしい。

 まるで、彼女達が、真実を語ろうとしたところを邪魔しているかのようだ。

 何者かが、腕輪を操作しているようにしか、思えてならなかった。


「あああああああああっ!!!」


 青い髪の少女達が、絶叫を上げる。

 すると、腕輪からまがまがしい力が解き放たれた。

 一体、どういう事なのだろうか。

 なぜ、腕輪から、妖魔のような力が、解き放たれたのか。

 理解できないルチア達。

 しかも、まがまがしい力は、ルチアを押しだそうとしている。

 ルチア達は、その力に耐えるしかなかった。

 まがまがしい力が止み、ルチア達は、目を開ける。

 すると、信じられない光景を目にしてしまった。


「え!?」


「なぜ……妖魔が……」


 ルチアは、目を見開き、驚く。

 ヴィオレットも、信じられなかった。

 彼女達の目の前に、三人の妖魔が、現れたのだ。

 青い髪の少女達と入れ替わるように。

 ヴィオレットは、妖魔達の正体を一目で見抜いてしまった。


「まさか、あいつら、妖魔になったのか?」


 ヴィオレットの推測通りであった。

 なんと、青い髪の少女達は妖魔に転じてしまったようだ。

 これには、さすがのヴィオレットも、信じられなかった。


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