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楽園世界のヴァルキュリア―黎明の少女達―  作者: 愛崎 四葉
第一章 ヴァルキュリア編・前編
20/76

第二十話 共闘

「そこまで、見抜かれてたんだ」


「へぇ、やるじゃない」


 クロウの言葉を聞いた二人の妖魔は、微笑む。

 見抜かれていたとは言え、余裕のようだ。

 まるで、自分達の方が、勝つと思い込んでいるのだろう。


「お前ら、何の目的で、ここに来たんだ。それに、どうやって……」


 クロスは、妖魔達に問いただす。

 なぜ、ここに来たのか。

 しかも、結界が張ってあるにもかかわらず、どのようにして、すり抜けたのか。

 知らなければならない事は、山ほどある。

 ゆえに、問いただした。


「教えたくない」


「どうせ、教えたって、殺すんでしょ~」


 妖魔の男性は、静かに、回答を拒絶する。

 教えるつもりなどないようだ。

 それに、妖魔の女性は、教えたとしても、すぐに、殺されるのではないかと、予想している。

 妖魔は、島の民や帝国の民にとって、危険な存在だ。 

 彼らは、その事をわかっているのだろう。


「その通りだ」


「ちっ」


 クロウは、静かに、答える。

 答えた後、殺すつもりなのだ。

 生かすつもりは、毛頭ない。

 わかっていたとは言え、苛立ったのだろう。

 妖魔の男性は、舌打ちをし、にらみつけた。


「なら、殺してやるよ!!」


 妖魔の女性は、構える。

 ルチア達を殺すために。

 クロスとクロウは、古の剣を鞘から引き抜き構える。

 ルチアとヴィオレットは、すぐさま、ヴァルキュリアに変身した。

 二人の妖魔は、すぐさま、襲い掛かる。

 だが、ヴィオレットが、地面を蹴り、先陣を切って、二人の妖魔に斬りかかった。

 二人の妖魔は、回避し、距離を取った。


「ヴァルキュリアか。厄介だな」


 妖魔の男性は、ヴィオレットに向かって、魔技・ディザスター・シャドウを発動する。

 どうやら、人型の妖魔のようだ。

 ヴィオレットは、回避し、魔技を切り裂こうとするが、妖魔の男性は、影と同化してしまう。 

 そして、そのまま、ヴィオレットの背後に回り、再び、魔技・ディザスター・シャドウを発動した。

 ヴィオレットは、とっさに、回避し、距離を取った。


「ヴィオレット!!」


 ルチアが、ヴィオレットの身を案じるが、クロスが、ヴィオレットの前に出る。

 守ろうとしてくれているようだ。


「大丈夫か?」


「ああ、問題ない」


 クロスは、ヴィオレットの身を案じて、問いかける。

 だが、怪我はないようだ。

 ヴィオレットは、冷静に答えると、クロスは、安堵していた。

 ルチアは、ヴィオレットの元へ駆け寄ろうとする。

 だが、妖魔の女性が、ルチアとクロウの前に立ちはだかった。


「あんた達は、あたしが、殺してあげる!!」


 妖魔の女性は、構える。

 戦力を分散させるつもりだ。

 二対一になるというのに。

 余裕があるのだろう。

 自分一人でも、ルチアとクロウを相手にできると。

 ルチアは、焦燥に駆られ、地面を蹴り、妖魔の女性に向かっていった。


「やあっ!!」

 

 ルチアは、蹴りを放ちながら、魔技・ブロッサム・ブレイドを発動する。

 だが、妖魔の女性は、影に同化して隠れてしまう。

 そして、すぐさま、ルチアの背後に回り、ルチアに襲い掛かろうとしていた。


「っ!!」


「ルチア!!」


 ルチアは、危機を感じたが、体がこわばり、立ち尽くしてしまう。

 このままでは、ルチアが、殺されてしまう。

 危機を感じたクロウが、ルチアの前に立ち、魔法・シャドウ・スパイラルを発動。

 妖魔の女性の行く手を遮り、ルチアを守った。


「一人で、突っ走るな」


「うん、ごめん……」


 クロウは、ルチアを止める。

 だが、責めているわけではない。

 ルチアの事を心配しているのだ。

 ルチアは、その事をわかっており、ルチアは、謝罪した。

 ヴィオレットとクロスも、苦戦しているようだ。

 影と同化してしまうからであろう。

 妖魔の男性は、影に同化しながら、妖魔の女性の元へと移動した。


「いっくよ~」


「おう!!」


 妖魔の男性が、魔技・ディザスター・シャドウを発動。

 妖魔の女性は、続けて、魔法・エビル・シャドウを発動した。

 まがまがしい闇の力は、ルチア達に襲い掛かろうとしていた。


「その手に乗るか!!」


「それは、どうかな?」


 ヴィオレットは、鎌を振り回し、妖魔の魔法や魔技を切り裂こうとする。

 だが、妖魔の男性は、笑みを浮かべていた。

 まるで、余裕と言わんばかりに。

 ヴィオレットは、魔技・スパーク・ブレイドを発動する。

 だが、妖魔の魔技は、一瞬にして消え去ってしまった。


「何っ!?」


 ヴィオレットは、あっけにとられる。

 それは、クロスも、同様だ。

 ヴィオレットを守るように前に出るクロス。

 だが、妖魔の魔技が再び、姿を現した時は、すでに、ヴィオレットの背後に回っていた。

 妖魔の魔技は、ヴィオレットを切り裂いた。


「ぐあっ!!」


「ヴィオレット!!」


 ヴィオレットが、苦悶の表情を浮かべて倒れる。

 ルチア達は、あっけにとられていた。

 妖魔の魔法にほんろうされてしまい、ヴィオレットを守れなかったのだ。

 妖魔の魔法は、姿を現しては消え、姿を現しては消えるの繰り返しだ。

 ゆえに、ルチアとクロウは、ほんろうされてしまい、あたりを見回し、警戒していた。


「どこ見てんの?」


「え?」


 妖魔の女性は、不敵な笑みを浮かべている。

 まるで、ルチア達を弄んでいるかのようだ。

 ルチアが、危機を感じ取ったが、時すでに遅し。

 妖魔の魔法は、ルチアの背後に迫り、ルチアへと直撃した。


「うあっ!!」


「ルチア!!」


 ルチアは、吹き飛ばされ、地面にたたきつけられる。

 いつの間に、ルチアは、妖魔の魔法を受けてしまったのだろうか。

 クロウは、ルチアの元へと駆け寄り、ルチアの前に立つ。

 ルチアを守るために。

 思考を巡らせるが、見当もつかない。

 すると、二人の妖魔が、影の方へと入る。

 まるで、嘲笑うかのように。


「影を使えば、こっちのもんだからな」


「ちっ」


 妖魔達は、自分が発動した魔法や魔技を影の中に忍ばせていたのだ。

 つまり、同化させていたのだろう。

 それゆえに、ルチア達の前から、姿を消し、突如、背後から、現れ、ルチアとヴィオレットを襲った。

 なんて、厄介な能力なのだろうか。

 クロウは、苛立ち、舌打ちをした。

 焦燥に駆られているのだろう。


「クロス、二人を頼んだぞ」


「けど……」


「いいから、いけ!!」


 クロウは、ルチアとヴィオレットの事をクロスに託す。

 クロスは、回復魔法を唱えることができるのだ。

 ルチアとヴィオレットの傷を癒せるのは、クロスしかいない。

 たとえ、再生能力があったとしても、すぐさま、癒さなければならないと、判断したのだろう。

 だが、クロスは、躊躇してしまう。

 一人で、立ち向かう事は危険だからだ。 

 クロウは、声を荒げる。

 クロスの為に。

 クロスは、歯を食いしばり、ルチア達の元へと駆け寄った。

 ルチア達を助けるために。


「一人で、戦うのかよ」


「無理だっての!!」


 二人の妖魔は、嘲笑う。

 騎士と言えど、自分達に立ち向かえるはずがないと、思っているようだ。

 二人の妖魔は、すぐさま、魔法と魔技を発動した。

 クロウを殺すために。

 だが、その時であった。

 華の魔法、雷の魔技が発動されたのは。

 驚愕し、あっけにとられる二人の妖魔。

 クロウも、同様だ。 

 予想もしていなかったのだろう。 

 ルチアとヴィオレットの傷が、すぐさま、癒えるとは。


「これくらいで、倒れると思った?」


「ヴァルキュリアの特性を知らないようだな」


 ルチアとヴィオレットは、前に出る。

 しかも、笑みを浮かべて。

 まるで、余裕と言わんばかりに。


「ちっ。再生能力かよ」


「知ってるの?」


「もちろん。あんた達の事もね」


 妖魔の男性は、苛立ち、舌打ちする。

 彼らも、知っているようだ。

 ヴァルキュリアの特性を。

 妖魔の女性は、ルチアの問いに答える。

 ヴァルキュリアの事も、ルチアとヴィオレットの事も知っていると。


「どういう意味だ?」


「教えるかよ」


 ヴィオレットは、妖魔達に問いかける。

 なぜ、自分達を知っているのか。

 だが、妖魔の男性は、答えるつもりはないようだ。

 決して。


「まぁ、いっか。なんか、楽しめそうだし」


「お前ら、覚悟しろよ」


 二人の妖魔は、再び、魔法と魔技を発動する。

 当然、魔法と魔技は、姿を消し、ルチアとヴィオレットを背後から襲い掛かろうとしていた。


「ルチア!!ヴィオレット!!よけろ!!」


 危機を察し、ルチアとヴィオレットの背後に立つクロス。

 クロウも、続けて、背後に立つ。

 ルチアとヴィオレットを守るためだ。

 だが、ルチアとヴィオレットは、あえて、影の元へと迫る。

 そして、影に潜んでいた魔法と魔技を切り裂いた。

 魔法と魔技を発動して。


「なっ!!」


「なんで!?」


 妖魔の男性は、あっけにとられ、妖魔の女性は、体を震わせて、問いかける。

 何が起こったのか、理解できないようだ。

 なぜ、ルチアとヴィオレットは、魔法と魔技が、どこに隠れているのかを察することができたのか。

 闇属性ではないのに。

 これには、さすがのクロスとクロウも、驚きを隠せなかった。


「なめてるのは、お前達の方だ」


「私達だって、鍛えてきたんだから」


 ヴィオレットは、答えるつもりはないようだ。

 もちろん、ルチアも。

 戦いの経験を積み重ねているからこそ、居場所を探れたのだろう。


「「手加減しないからな!!」」

 

 ルチアとヴィオレットは、構える。

 しかも、声をそろえて。


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