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シンデレラの意地悪な姉

誤字脱字感想アドバイスございましたらお願いします。

ブックマークしてくださった1001人の方、

評価してくださった14人の方、

大変ありがとうございます。

日間ランキング最高6位、嬉しすぎて逆にもう何か歯痒かったです(ë)


今回また長くなりました。

なるべく安定させようとは思ってるんですがなかなか難しくて...。

取り敢えずどうにか楽しんでくだされば幸いです。

 私は前世で彼のヒロインへの愛と優しい正義感によって処刑された。


 そんな彼の真っ直ぐな正義感を見る度に私はヒヤリとしてしまう。


 あの時私を殺した彼のそれがまた彼の姉となった私に牙を向くのではないかと怯えているのだ。



 どうしたって私が彼と向き合おうとする日なんて来ないんじゃないかと思ってしまう。


 いつかいつかと先延ばしにした結果がこれだ。




 目を閉じる。

 それだけで、この世界に生きている今も思い出せる凄惨なあの日。


 王子殿下の恋人に危害を加えたという理由で愛していたヨハンに婚約破棄をされた。


 彼は家を通して私に婚約破棄を申し入れた。

 そのため彼に会うことは出来なかった。


 私は会って弁解だけでもしたかった。


 “言い訳と取られても構わない...!”



 しかし、私はその言い訳すら聞いてもらえなかったが。


 一目顔を見ることも叶わず、その後はひたすら悲しみに暮れた。




 そして訪れたあの地獄。


 _____そう、あの日は私の誕生日だった。


 美しいドレスを着て、婚約者に婚約破棄されたばかりだったけれど、気が乗らなくても、私のために集まってくれたお客様をもてなさないなど出来ようはずもなく...。


 お母様が気を使って私を慰めようと親しい方だけに招待状を出して誕生日パーティーを開いてくれた。

 皆それぞれプレゼントを持ってきてくれた。

 一人一人から受け取って感謝を述べて、そんなことを繰り返していた。


 気を遣わせていることにもうしわけなかったけれど、変に噂を持ち出すような人もまずいるはずもなく、本当にありがたかった。


 たしかあの時、パーティーが終わり、お客様をお見送りしたあと、部屋に戻り、家に届いたプレゼントを開けようとしたのだ。


 見送りをしたあと、パーティードレスから普段着用のドレスに着替える時に、メイドが持ってきた。

 なんでもつい先程届いた小包らしい。

 外側に名前を見つけることが出来なかったそうだ。

 なぜ私の元に持ってきたのかと聞くと、私の誕生日だから誰かせっかちな客が名前を書かずに出してしまったのでは、と思ったそうだ。


 そんなポカをやらかすような友人はいただろうか。


 “シアかな?”


 ふと頭に浮かんだ友人は少しおっちょこちょいな、マイペースなパトリシアだった。

 そんな条件に引っかかる彼女を思い出し、笑いがこみ上げる。




 その日の誕生日パーティーでは、皆プレゼントを持参してたから、どなたのだろうかと不思議に思ったのだ。


 パーティーの欠席者はいなかったはず、参加出来なかった方のプレゼントではないと思う。誰かが家に送る用と、手渡す用の二つも用意してくれたのか。


 その時の私はある平民出の女性を虐め婚約者に婚約破棄されたために、人望などまるでなかった。


 そのため今日招待した以外の人間からプレゼントが来るとはまるで思っていなかったから、自然とそんな考えをした。


 そしてプレゼントの中身もまた不思議だった。


 一本の薔薇。それはまぁおかしくない。

 瑞々しく可愛らしい花だ。

 贈り物に花というのはまぁよくあるものだ。

 それだけというのは珍しいかもしれないが、添えてあったりラッピングなど飾りによく使われる。


 薔薇は赤い。

 繊細な絹の純白ののリボンが結ばれていた。

 婚約破棄されたばかりの女に赤い薔薇など随分なものだ、と心の中で思ったのを覚えている。


 送り主は書かれていなかった。



 屋敷に騎士が押し掛けた。

 私は国を揺るがす大罪を罪状として読み上げられた。


 私は一つとしてその内容の詳細を覚えていない。


 “私は違う”

  “無実だ”


 そう言い続ければ良いのだと思っていた。

 そうすれば誰かが無実の証明をしてくれる。

 だってやっていないのだから。


 しかし現実はそうはいかなかった。


 父も母も、一目会うことも叶わない。

 数えて十か、二十が過ぎただろうという頃。正確な日にちは分からないが恐らくひと月はまだ過ぎていないと思われた。


この国の気候は冬の寒さが酷く厳しい。秋と春も本格的な冬の寒さに及ばぬとも薄らと冷えている。その日、私は酷い寒さに震え、どうか毛布の一つでも貸してもらえないかと一日に二度飯を運びに来る牢番に掛け合おうと考えていた。


牢番を待つ間、投獄された牢屋で聴いた。





 “おいっ...、おいったら、見たかよ!”


“んだよぉ、いきなり...うるっせぇんだよ。っても、一人で騒いでんじゃねぇよ!”


 “最近ぶち込まれたあの女っ!今迄散々うまい飯を食ってきたんだろぅなぁ?さぞかし、艶のいい肌だろう。髪は毟ってカツラにするかぁ?”


 “あとは何を与えていただけるかねぇ、なんでも持ってるお貴族様はよぉ。ぅあっはっは”


 “おいおい、笑い過ぎだろぉ?聞こえちまうよっ!”


 “いやいや、今頃さみしくって泣いてるんじゃねぇかぁ?そういやぁ、あのお嬢ちゃんが着てる服!なぁんで脱がさねぇか知ってるかぁ?”


 “そういやぁ、あんな高そうなドレス、チャッチャと脱がせて終身刑の囚人服でも着せときゃいいんじゃねぇのかぁ?なんだよ、王子の情かよ。つまんねぇなって、あぁ?なんだよぉ、何笑ってんだよっ。”


 “ぶっ!アッハッハっ。おめえもバァカだなぁ。ありゃ情なんかじゃねぇのよ。むしろアレよ。最後まで貴族の屑として終われっていうなぁ?”


 “あぁ?”


 “だぁからぁ、お綺麗な服着た貴族様が処刑台登るんだぜ?そんで最後に全部持ってかれんだよ。そっちの方がより惨めだってもんだ。”


 “うひゃー、こえぇ、こえぇ。”


 “それに、普通、こんなに早くはならんだろ?”


 “何がだよ?”


 “首切られる日だよ!普通こんなに早いわけないだろ?誰かの息がかかってないと、こんな無茶苦茶なことできるわきゃねぇんだよ。”


 “おいおい、そりゃ誰だぁ!?もったいぶってねぇで早く言えよっ!”


 “そんなこと出来んのはまあ、お貴族様に決まってる。だがあの嬢ちゃんだってそこそこの家だ。そうなりゃまぁ、あとは決まってくるもんだよ。”


 “へぇ?あの嬢ちゃんそんなにいい家の出だったのかよ。”

 “なんだぁ?オメェそこからかよ。牢屋暮らしが長くなりすぎて、んなことも知らねぇのかょ。”


 “じゃあもう、そんな上から来てるんだったら嘘だろぅが本当だろぅが後はもう死ぬだけってかっ!”


 “いやいや、_____”


 “むしろもっとってなっ!だから_____”


 無念だった。

 死してなお、私は奪われるのか、と。

 婚約者も家族も失い、何もかも手放し、信頼もすべて地に落ちた。

 そんな私からなお...。


 首さえ手放した私はあと、何を奪われるのか。

 私に残っているものはなんだろう。


 無実の罪状、

 _____跳ねられた首の温度は、土に分け与えられた。

 私の最後の記憶は自身の差し出された首を飛ばす刃の音と、様々な反応で喧騒を作り出す湧き立つ見物人の中に見た、一等目を惹く美しい男だ。


 形の良い唇の端を吊り上げる愛していた婚約者の瞳は安らかなモノだった。


 そして私は再び同じ世界にいた。

 人も土地も皆同じ。

 だが、何かが違った。

 私は生まれてすぐに気がついた。

 前世と違ったのは、生まれた家。

 私は前世親だった人と他人になった。

 そして、婚約者だったヨハンの姉になった。


 私は弟が苦手だ。


 人の死を観劇でも観るように眺めていた彼が恐ろしくて仕方が無い。





  私は今の今まで彼に向き合おうとなんてしなかった。



 私は一生彼から逃げ続けることが無理だとわかっていながら、心のどこかで彼と向き合わずに逃げ延びることを望んでいる。


 そんな未来を渇望しているのだ。


 6年間彼と共にいたのだ。情がない訳では無い。

 むしろだいぶ愛情はある。

 そう。

 だからこそ、なのだ。


 情が芽生えてしまったことで、前世の政略結婚という互いの感情を_____私という、ヨハンという個々を_____徹底的に排除し無視した、無機質なあの関係が再び...。


そうならないために芽を摘まなくてはならない。


 前世の彼に殺されたとき以上に、私は愛する弟の真っ直ぐな正義感が私を殺すことに怯えているのだ。


 親愛と恐怖という非常に奇妙な感情を同時に抱えている。親愛には安心がお似合いだと思っている私からすると不安定で不格好で皮肉なものだと思う。


(たとえ彼に殺されても変わらずに彼を弟として愛している)



 そんなことが言えるほど私は強くない。

 私は彼の真っ直ぐな正義感という性質を愛しているからこそ彼のそれに殺されることにひどく恐れを抱いている。







誤字脱字アドバイスありましたらお願いします。


作者は典型的な褒められて伸びる子みたいで、突然ランキングインした時から無駄にやる気がみなぎってて...。

ノリと勢いで書いてるので矛盾とかもちょくちょくあるかもしれません。

読んでくださってありがとうございます。

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