“厨ニ病”と呼ばれる恐ろしい病。そして、記憶の回廊
短いですよ。
ある部屋に数人の少年達が集まっていました。
しかし、その少年たちは恐ろしい病にかかっていたのです。そして、その病が治った少年達は、揃ってこういいます。「あれば、黒歴史だーー!」や、「思い出したくないーー!」など、彼らにとって、そうとう、恥ずかしいことを過去にしてしまったのでしょう。その病とは、そう
ーー厨ニ病だ。
そこで、ある厨ニ病の少年の話をしよう。
少年が厨ニ病になった理由は、単純明快。少年の友人が、あることをやっているのに興味を持ち、彼自身もやっている内に、はまってしまったのである。その友人がやっていたことは、道中で、
「我、真祖の名において、万事、氷結させし変化を求む。我、全てを氷の茨により閉ざされた世界を望む。我、この蒼い世界を氷結世界に変えることを望む。降臨せよ、冥府の川の化身の神獣よ、我が魔力を代償に顕現し、全てを氷と化せ!絶対零度ッ!」
と、木の棒を杖にして、フード付きの黒い服に黒いズボン、黒いコートを着て、そんな事をやっていたので、周りが痛い目で見ているが、まだ、幼かった少年達がその視線に気がつくことはなかった。
そして、少年は格好いい、と思ってしまったのだ。そして、自分も真似したい、と。
それが、少年が厨ニ病になった原点である。
そして、少年は友人が黒だったから、白がいいと思い、母親に白のフード付きの服に、白い少し大きめのズボン、白の背中側に刺繍がある上着を買ってと、母親にお願いした。元々、少年は我が儘は、あまり言わないタチで、母親は、そんな滅多に我が儘を言わない息子が言うんだから、相当欲しいのだろう、しかも、大事な息子の頼みだ、と買ってきたのだ。大きい衣服を何に使うかを聞かない母親は母親で息子に駄々甘なのだ。
そして、少年は、まず、格好良いことを教えてくれた、友人の元へ向かった。
不幸中の幸いと言うべきか、少年は常識人であった。さすがに、町の中をその格好で歩くのは、恥ずかしいことだと、
直感で分かっていたのだろう。だから、少年は友人宅を訪問し、友人の家で着替えた。
そして、友人は大賢者設定、少年は、魔法剣士設定だった。大賢者は、全ての魔法を熟知し、尚且つ、それを全て完璧に扱える職業(という設定)で、魔法剣士は剣術を剣聖レベルまで扱え、尚且つ、魔法を上位までなら使え、その魔法を剣に宿らせることが出来る(という設定)。
ちなみに、剣術レベルとは、5段階に分かれており、見習い、一人前。、剣豪、剣聖、剣神であり、剣神まで来ると、人外レベルである。また、魔法にもレベルがあり、小さい順に、初級、中級、上級、最上級、神級の5段階に分かれている。神級まで来ると、やはり人外レベルである(という設定)。
少年は友人に厨ニ病のレクチャーを受けていた。そう、友人は、少年を厨ニ病へと引きずり込もうとしていた。
ーーー3時間後
「我が名は、聖魔剣士それ以上でもそれ以下でもないただ、それだけの存在だ。我の姿を見た者は、聖と魔、二つの相対する力に、消されるだろう。」
「大禁忌、聖魔剣融合。左に聖剣、右に魔剣。融合、充填、発射!聖魔混合斬ッ!」
少年は無事に厨ニ病へと化していた。
そして一方、友人はというと、
「複合融合魔法省略詠唱、我は真祖。その名において命ずる、
焔爆破、氷結世界、嵐の弾丸、隕石衝突、を融合し、氷結の嵐弾、爆隕の流星へと、融合、昇華し、終にの昇華により進化した、四属性究極混合魔法、氷砕爆破流星弾ッ!」
やはり、厨ニ病だった。というか、更に酷くなっていた。
こうして、厨ニ病としてデビューした少年は、厨ニ病を小学4年から中学卒業まで続けた。しかし、中学校卒業から、次第になりを潜め、それから数年後の現在は、黒歴史として記憶しているのみである。
ちなみに、少年の友人はというと、中学校卒業と同日に外国へと引っ越してしまって、会えていない。厨ニ病を卒業したのも彼に会えないので、楽しめなくなったことが原因である。
最後に、少年の名を紹介しておこう。少年の名は桜川 晃樹。ある世界の英雄の曾孫であり、彼の世界へいずれ召喚される者でもある。