宅急便さん、ヤマト、佐川、郵便局。西濃だけは縁がない。
独り暮らしをはじめた。
ロンリーだ。いつでも、どこでも、ロンリーだ。
そりゃそうだ。
だって独り暮らしはじめちゃったんだもん。
独り暮らしを始めたからには生活用品を揃えねばならん。
私はなにかを買うときは徹底的に調べる暇人。
調べた。
「最強」トリートメント。
「最強」靴下。
「最強」カビ取り
なんでもかんでも最強で調べた。
最強ってのはいい。
なにせ、最強だ。根拠なんてない。
最強ってのは便利な言葉だ。とりあえず最強だったらなんでもかんでもとりあえず不備はないだろう。
そんでネットショッピングする私。
あとは宅配便さんが届けてくれるのを待つだけだ。
おやすみ、ぐーぐー。届く日まで。
たのしみだなーーーー。
○月○日
独り暮らしをはじめて間もないころ。
夜の八時。
扉がドンドンいきなりなり始めた‼
怖い‼なんなの?
やくざのとりたてのような激しいノックだ。
やめてドアはやさしくノックして!
私は思った。
独り暮らしを始めたら最初に通る登竜門。NHKの野郎だな‼
NHKの集金は昼夜問わずに常識外れの訪問をするとブログにかいてあった。
ついに来やがったのか‼
契約しねーぞ。
だってうちにはテレビないもん!
テレビがなくてもワンセグついているスマホがあれば契約しろとタンカをきるのがNHK!
スマホでさえもテレビ見てないんだ‼徹底的にガチで真面目にテレビとは縁のない健全な生活を送っているんだ。ま、負けるもんかぁ。
うっうっうっ(泣)NHKこわい。
どうしよう。ドア、無言でどんどんしすぎ。
「は、はい。」
とりあえず返事をして扉を開けた。
「クロネコ…。ヤマトです。」
宅急便だった。
「あっ、ご、ご苦労さまです。」
私はサインをして商品を受け取った。
クロネコヤマトは配達の値段が高いから、その分、社員教育は徹底しているものだと思っていた。
ドンドン激しい無言の扉たたきはこの人だけである。
怖いわ。借金の取り立てのような激しさだったわ。
しかも名乗らないからガチでNHKだと思ったよ。
佐川さんは、ちなみにトントン優しいノックだった。
しかもちゃんと
「佐川きゅうびーんでーす。」
と、名乗ってくれる。
郵便局は
「郵便でーす」だった。
西濃さんとだけは未だに縁がなく、知り合っていない。
え?チャイム?
壊れてて鳴らねーよ‼
あっはっはっ。
入所したときから鳴らないけどとくに困らないからそのまんま放置してるよ。あっはっはっ。
ちゃんと、「チャイム壊れてます」と、張り紙はっておいたからうちは基本はドアドンドンがチャイムがわりだよあっはっはっ。
もぅそのスタイルが各社、染み付いちゃってるよ。ドンドンドン!
ちなみに外のランプ?も最初から蛍光灯切れててつかないよ。あっはっはっ。
大家さんや。大丈夫か?
○月○日
不在伝票がポストにはいっていた。
ヤマトだ。
相手はヤマトだった。
職場からヤマトに休憩のときに電話をかけた。
担当ドライバーへ直通の電話だ。
「すいません、不在伝票がはいっていたのですが再配達をしていただけますか?住所ほにゃらら名前ほにゃららです。」
「…。あ、はい、何時にしますか?」
このヤマトさん。人なれしていないんだろうな。
すっごい、無愛想に嫌そうに喋るの。
おっちゃん、がんばれー‼
「あっ、いつでもいいので玄関前においといてもらえますか?仕事で帰りが遅いので、いつでもいいので玄関前に置いといてください。」
「え…。盗まれても…。」
「大丈夫です。たいしたもの頼んでないので置いといてください。」
「あっ、そうですか。わかりました。」
そして、夜に帰宅。
玄関前に郵便物はなかった。
まぁ、いつでもといったし、明日届くのかもしれない。
念のためネットでヤマトの伝票で配達状況を調べると配達済みになっていた。
あ、あれ?
あれ?
マジか。盗まれるのか、盗まれるものなのか?
マジかー。盗まれたか~。
中身はトリートメントだけど持ってかれちゃったかー。そうかー、盗まれるものなのかー。
そうかー、盗まれても困らないものだけど盗まれると、中々心が痛むなー。そうかー、もってかれちゃったかー。そうかー。
と、しょんぼりして次の日玄関からでると、柵のしてある電気メータがついているへこんだところにテトリスのように荷物が突っ込まれていた。
テトリス?‼よくここに突っ込めたな!
「…。」
でも。わからんよ!これじゃあわからんよ‼
でもあってよかったよー。有り難い有り難い。
こうして、私は無事に荷物を受け取った。
ちなみに、他のヤマト(若い衆)は、植え木鉢がおいてある一画に隠すように荷物を置いていく。
どうやらヤマトさんはいかにばれないように置いていくか、気をつけてくれているらしい。
ちなみに若い者はめっちゃ小さい字で隠しもののありかを不在伝票に記入しておいていってくれるのだが、なにせ小さくて暗号と、かしていて読めない。
○月○日
またしてもヤマトから不在伝票がはいっていた。
私はお得意の玄関前に置いといておくれ。と、頼んだ。ヤマトさんは
「…。え?た、食べ物なんでだめです。」
「え。食べ物だと不味いですかねー?」
「…。そうですね。」
「わかりました。受けとります‼」
「…。あっはい。いつならいますか?」
「では明後日ならいつでも構いません」
「わかりました。」
そうか、食べ物はダメなのか。中身はえびせんだから問題ないと思ったのがダメなのか。…。えびせんなんだけどな。
○月○日。
ヤマトを待ち伏せする。
ちなみにうちの家の前は車がマジで通らない。
なので車の停車した音が聞こえたら、それすなわち宅配便なり‼
私は大急ぎでは家の前の道路に飛び出て荷物を受け取りいく‼
大概の宅配便会社は超驚いた目でこちらを見ている‼
宅配便の人が車から荷物を取り出している間にすでに一人の女が待ち構えているのだ‼
「ほにゃららです。配達ご苦労さまです」
「!?」
ちなみにうちの窓から道路は見えないので完全に音だけで判断している。なので宅配便の人は余計にびびってこちらを見ていることが多い。
そして、皆作り笑いを忘れてすぐに車に乗り込んで旅だって行く。
フォーエバー。
○月○日。
コーン茶を一ケース頼んだ。
宅配便の車の止まる音がするので、すぐに自宅から出撃する‼
佐川の兄さんが驚いた目で今から車からおりようとしているところだった。
「ほにゃららです。荷物を受け取りにきました。」
「あっ、はい。」
兄さんが少しドン引きをして、後ろの扉をあけてコーン茶(24本入り)を取り出す
「あの、重いので扉前まで運びますよ」
「大丈夫です‼」
「え?大丈夫なんですか‼重いですよ‼」
「大丈夫です‼」
「あの、大丈夫ですか?」
「大丈夫です‼」
私はサインをしたあとにコーン茶を受け取った。
「ご苦労さまでした‼」
◯月◯日
日本郵便から不在伝票がポストに入っていた。私はネットにて再配達の申し込みをし、日付は指定したものの、いつものように『玄関前に置いといてくださるならいつでも大丈夫です』と、付け加えた。
そのいつでもは私がいるときに訪れた。家に電気がついているから在宅しているのがわかったのだろう。
「無事にお届けできて良かったです。あんなに優しい言葉ありがとうございます」
と、言われた。
最初は何を言っているのか理解が出来なかったが、しばらくしてからあの一言要望のことかな?と思い当たり、いかに宅配会社さんの日常が大変なのかが、かいま見えたきがした。
私は単品の安い買い物が多いので、日付指定は有料なところが多い。だからあえてしていない(*_*)
もしくは日付指定不可(コーン茶)なもので宅配会社さんも二重の手間がかかってしまっている。
さすがに洗濯機を頼んだときは日付指定不可だったが、宅配会社にAmazonで買ったんだけどいつ届きますか?重いものなので不在なときに来られたら申し訳がないので、と、先回りして宅配会社に連絡を入れた。
「Amazonさんからまだ宅配のデータがこちらにはあがっていないです。お調べしてみます。」
という、オペレーターさんの優しさにより、無事に日付を指定して受け取った。
遡って去年の1月。
イタリアでヤマトを見つける‼
うわーーーーー。ヤマトやーーーー
フイレンツェにあるスーパーの一階になんとヤマトの旗が‼
ブログでイタリアの、スーパーにヤマトがいることは知っていたのだが、ここにいたのか。
ヤマトの、国旗よ…。
感極まって写真をとるのを忘れる。
現在。
未だにNHKが来ない。
テレビもない。
西濃さんとは縁がない。