初ダンジョン、そして…
今日は2話送る予定です。
2話目は外伝みたいな感じなのでストーリーは進みません。
異世界に来て3日目となった。
今日はダンジョンに潜るらしい。集合場所に着くと全員がいた。みんな、初めての戦いを楽しみにしてるみたいだ。…ほんとにゲーム感覚だな、おい。大丈夫なんだろうか。
漆黒のダンジョン。今回行くところだ。別名ダークネスと呼ばれ、仕組みは判明されてないがダンジョン内では闇魔法の威力が上がるようになっているらしい。ちなみにダークネス・メアと呼ばれる魔族が創ったダンジョンということでその名がつけられているとか。
ダークネス・メア。魔族の中で最も戦闘が強かった女性型の魔族。ただ、あまり戦争は望まず、降りかかった火の粉を払うという感じだったらしい。
そうしていく内にあんまりに疲れたため、ダンジョンを創り、其処に住むようになったそうだ。まあ、今も住んでるかはわからないが。そもそも生きているのかもわからないと聞く。
なんで最初に行くダンジョンがそこなんだ?もっとランクの低そうなところでもよかったんじゃないか?とても現れるフラグが立ってるんだが、僕の勘違いか?
ちなみにだが、僕は装備品を少し変えてみた。短剣は腰にあるベルトにつけ、背中に片手剣を付けている。
昨日、刃こぼれとかがあると支障をきたすと思い武器の手入れの方法を調べてみたら、どうやら鍛冶職のスキルの「錬成」を使うと手入れが楽になると知り、錬成を覚えてみた。「錬成」は本来武器を作ったりなど、物を作るときに使うスキルで、いわゆる裏技のようなことをしていた。それで、手入れのためだけに使うのは勿体無いと思い折角だったので武器も作ってみたら案外上手くいったのだ。魔力を上手く形にしていくイメージをしていれば自然とできたのだ。
折角なのであるギミックを施してみたらなんとか上手くいった。やっぱりレベルが足んないのかな。普通はギミックを施すのはさほど難しくないと聞いていたのだが。…まあ、いいや。出来たわけだし。
ここでアキは誤解をしていた。
元々錬成は金属板など元の素材の形を変えることが出来るだけで、魔力から物を作ることは出来ないはずなのである。
アキがしたのは、今は誰もできないとされる錬金術なのだがそれは後日知ることになる。
そしてギミックも大層なものを付けるにはレベルが必要で、オリジナルのものとなると天才とされるレベル5まで上げる必要があるのである。あ、ギミックは「錬金」じゃないよ「錬成」ね。当然ながらアキのスキルはレベル1なのだが。それを知るのもまた後日である。
「先導は私、アイゼン国騎士団団長のガレアだ。よろしくな、勇者諸君。」
ガレアは見た目と言動から豪快な人みたいだ。これで団長なのかと思いため息をついた。団長といえば、雑務が少なからずあって大変なイメージがあるのだが勤まってるのか?部下に全部押し付けてるのか?この国は大丈夫なのか?
随分酷いことを考えるアキだが、雑務はしっかりこなしているため問題はないぞ!byガレア
ガレアはどうやら堅苦しいのは嫌いらしく同じ仲間として普通に接するように言われた。正直助かったので遠慮なくそうさせてもらおう。
「まず、出発の前に5人チームを作ってもらう。その方がうまく立ち回りができるからな。」
普通4人じゃね?この世界では5人が普通なのか?まあ、こっちとしてはありがたいけど。
勿論、ユウ、ナオ、レイ、ミキの4人と組んだよ。みんなも問題ないみたいだったし。ただ、ユウには友達増やした方がいいなんてことを言われた。余計なお世話だ!
「それではダークネスに向かう。」
…普通にダークネスとか言われると厨二みたいで恥ずかしい。元々異世界自体が厨二設定のようなものなのでこれが普通のようだが。これになれるのは少々難しそうだ。
ダークネスに着いた。なんか、普通の穴が開いているだけだった。てっきり禍々しいオーラの溢れるところを想像してたんだが。そして、歩き始めてたったの10分だった。めっちゃ近場だった。どういう神経でダンジョン創ったんだろうな。
「では中に入る。ここにでてくるのはゴブリンやスライムの、今のお前たちでも対処できる魔物ばかりだ。なんとかなるだろう。」
最強が創ったダンジョンがまさかの初心者の狩場って…。なんかいろいろとがっかりした。まあ、安心もしたけど。
「5分ずつずらして1チームごとに入ってもらう。わかると思うが混雑を避けるためだ。」
なんか、「列を作って並べ!そうしなければ周りの人が通れなくなり混雑を生む!」みたいなことを言われた。どこの世界でも一緒なんだな。
僕たちは一番最後ということになりゆっくりと待ち、ようやく僕らが入る番になった。階層にして3階しかないらしく、みんな最深部で待つように言われているそうで、結構の人が集まってそうだ。
アキ「みんな行くぜ!」
「「「「おーーーー!」」」」
主人公っぽいことしてみた。
…うん、あっという間だった。魔族の住処ということもあって難しい構造にはなっていなくて、魔物は1、2体が5回現れたくらいだったので簡単だった。残念ながらレベルは上がらなかった。ただ、ギミックとして作ったガンソードは試すことができた。
剣にトリガーをつけただけの見た目で、魔力を球体にして刃の先端にためることができ、トリガーを引くことで飛ばすことができる、簡単なつくりだ。属性を球体に込めて飛ばすとその属性の攻撃ができるようになっている。風魔法しか試せてないのでまだ確証はないが。
試して見たところ、スライムやゴブリンはワンパンできるだけの強さがあった。スライムは斬撃に耐性があるのかあまり効かなかったのでちょうどよかった。もっと魔力を圧縮すれば強くなりそうだ。我ながらいい出来だと思っている。
みんなに見せたときの驚いた顔は面白かった。特にユウが驚いてたな。そのあと何かぶつぶつ言ってたけど。何だったんだろ。
僕たちが来たことで全員が集まった。ここで終わりにして城に戻ろうとしてた時に
「あ、スイッチがある!」
突然ユウが言った。どうやら隠し要素があったらしい。躊躇いもなくボタンを押した。
モンスターハウスが!なんてことにはならず、下に続く階段が現れた。
みんなは喜んでるみたいだ。物足りなかったらしい。
正直行きたくないな…。なんか、嫌な予感がするもん。
生徒の提案で下に行ってみようということになった。ただ、ガレアの指示でみんな一緒に行動するようにということになった。どうやらガレアも嫌な予感がするらしい。ただ、みんなの要望に応えたっていう感じだった。行くのも1、2階だけということになった。
そりゃ、未到達領域に素人だけでいかせるなんて危ないしね。妥当だと思う。
階段を下りた先は広い円状の部屋だった。天井は高くなっていた。階段長かったから気になったけどその分も下りたみたいだ。
その部屋には灯り以外何もなかった。少し中に入ると奥に扉があったのが見えた。何人かのクラスメイト(男)が調子に乗って扉まで走っていった。ガレアの止まる様警告する声が聞こえた。だがその声は一歩遅かった。
男の一人が扉に触れようとしたとき魔法陣らしきものに弾かれていた。防御障壁かなにかだろう。その後、部屋の中央に魔法陣が現れた。強い光が放たれてきた。それは僕たちがこっちに送られたときに使われた召喚魔法に似ていた。
光が収まるとそこには、有名なゴーレムさんがいた。聞いた話だが、この世界においてゴーレムは強キャラ扱いとなってるそうだ。ゴーレムの色によって特性は異なり、目の前にいる茶色のゴーレムは物理攻撃は全く効かないそうだ。
魔法の耐性も普通ぐらいに備わっていて、敏捷に欠ける以外は欠点がないそうだ。水魔法が唯一普通よりもダメージが通るそうだが、このメンバーで出せる水魔法は初級で使える水の壁と威力の低い水球だけなので、実質勝ち目ゼロである。
「みんなは早く上の階へ戻るんだ!」
ガレアが最もなことを言ったがみんな、足がすくんで動けないようだ。
ゴーレムには「威圧」というスキルを持っていて、ステータスが劣っていると少しの間金縛りのような感じになるらしい。気を確かに持っていれば耐えられるみたいだが。
ゴーレムが扉にいるクラスメートの方へ行った。どうやら門番みたいなもののようだ。ガレアが急いで魔法を放つが全然効いてなさそうだ。ガレアは炎魔法の中級までしかないそうだ。予想がつくだろうがゴーレムは炎に耐性がある。効かないのは当然である。
僕は急いで「ウインド」を使い扉まで行った。ウインドは風を自由に操る魔法だ。殺傷能力は皆無なので、追い風を作って素早く移動したりとかにしか使えない。レベルが上がれば飛ぶこともできるらしいが。
とにかく扉の前にいるみんなのところに行くことができた。仕方ないので助けてやろう。
すかさず剣を構え、先端に集中する。できるかわからないけど水のイメージを作って。
チャージが完了したのですぐさま放った。
「マジックキャノン!」
すみません、名前つけてみました!なんかあるとモチベが上がるよね!
魔力の球体はゴーレムの右腕に直撃し、少しのけ反らせることに成功した。水属性にもなっていたようでダメージも入ってそうだ。
そのころになってようやく威圧の効力が切れたみたいでみんなが一斉に階段に向かっていった。僕は仕方ないのでうしろにいる人たちに指示を出し、一か所に固まるように言った。下手に動くと狙われるし。
ゴーレムは狙いを僕に定めたのか拳をふるってきた。バックステップでかわすとすぐさま突進してきた。
みんなに僕に触れているように言いゴーレムとぶつかりそうな距離で魔法を使った。転移魔法を。
ゴーレムは後ろの壁に激突し、僕らはゴーレムから離れることができた。僕が少し時間を稼ぐからみんなには上がるように指示を出した。
時間がいくらか経っただろうか。どうやらみんな上がったようだ。ガレアは自分が足手まといになることが理解できたようでみんなを誘導して上に行っていた。僕もそろそろ行こうと思い階段に駆け出した。
帰れる!胸がいっぱいだった。そして階段を登ろうとした。
その時階段の上から1つの魔法が飛んできた。階段は細道で一人分しか通れないのでかわせなかった。もろに受けて衝撃で部屋に戻される。衝撃で頭がふらふらし、まともに立てなかった。すると突然床にヒビが入り砕けていった。
急になんで!?
下には何もないようで底に向かって落ちていく。最後に見えたのは階段にいた一人の顔だった。その顔はとても見覚えがあった。
どうしてなんだ、ユウ。
こっからですよ、最強は!
ちなみにチームを5人で組んだのは主要メンバーとして5人作ってしまったためです。元々ミキは作るつもりなかったのだが、こういうのもいいなと思い無理やり作りました。