表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
飽きない日々を求めて ~異世界で最強になってみた~  作者: 夢幻
7章 僕は世界を知る(ノーゼン~)
81/89

優しくされると嬉しくなる

……最近、遅刻常習犯の気持ちが少しわかりました。いや、知らなくていいことなんだけどさ。


昨日までずっと模試の勉強だったんですよ…。頑張ってしたのに結局そこまで点はよくはなかった…。僕の努力と浪費した時間はいったい…。

「あ、えーっと………これはどういうことなんでしょうか」


 僕は今、明らかに豪勢な部屋にいる。金とかそういうのではなく、品のある部屋にいる。僕はその部屋の椅子に座っている、のだが…………右腕には巨乳のお姉さんが、対面にはメアとノインがいてお姉さんに睨んでいる。お姉さんはどこ吹く風って感じで僕に抱き着いている。あ、ちょ、強く抱きしめないで! 感触が! あ、あざっす!


「 Σ(ロ゜ ノ)ビクッ!」 


 急に悪寒を感じた。何処からなのか辺りを見渡すと、二人の視線が氷点下の如く突き刺さった。僕は慌ててお姉さんを離そうとするが離れない。ちょ、やめ、力つよ! そうこうしていると二人の視線がさらに強くなる。もう、Gを見てるのと大差ないくらいに。僕は天を仰いだ。…………どうしてこうなった。






「エイ」

「「「目が、目があああああぁぁぁぁぁぁ!!」」」


 アーレウスの洞窟(?)から転移した僕らが最初に見たものは大きな浴槽と、裸のニーナだった。

 僕ら(男三人)は、女性三人からの目つぶしを受けて絶賛のたうち回り中である。裸を見た罰だろう。まさかラノベとかでよくあるやつを受けることになろうとは。………世界とは不条理に満ち溢れている。理不尽だ。不可抗力だ。……まあ、それはこの状況下においては通じないんだろうけど。

 痛みが引いたのを感じ僕は目を開けようとした。まあ、もちろん――


「まだだめです!」

「痛っっってええぇぇえ!!」


 目つぶしの餌食である。……わかってたはずなのになあ。




「はじめまして。私の名はアテンです。人の子よ、よろしくな」

「「「「「………」」」」」

「……あ、僕はアキトです。こちらこそよろしくお願いします。アテン様」


 ひと段落落ち着きを取り戻した僕らはメイド(?)に連れられ応接室のような、対面に座りあう席に着いて待つように言われた。それから幾ばくかの時間が過ぎた時、アテン様が現れた。女性である。少しほんわかした優しい感じの女性だ。控えめに言って可愛い。

 それで挨拶されたのははいいのだが、その後アテン様の後ろから突如、ピカーってまばゆい光があらわれ、それを感じた瞬間、僕らは膝をついていた。


 これは、神が保有するオーラ――神気とでも呼ぼうか――である。神の威圧だったりそういうのが凝縮された光で、人が直視すれば直感で諭されるのである。「この人には勝てない…」と。僕はなんとか挨拶を返せたが、他は威圧で震えていた。……ってメアは無事のようだ。何でだ? あとニーナは他よりは多少マシだった。まあ、少し震えているが。僕らより前に来てるからその時に耐性でもつけたのかな?


「アテンでいいよ。それより………どうした? 体調でも悪いのか?」

「その神気? ですか、ピカーってアテン様から出ている光。それを抑えてはくれないでしょうか? 人にはその力は強すぎるようです」

「えっ……あ、ああ! そういえば出しっぱなしだったね、失敬」


 そう言って顔を上に向け反りながら、光が徐々に止んでいく。……なんか、アテン様が堕天しているように見える。後ろに羽が見えそうだ。

 みんなが落ち着きを取り戻したので本題に入ろうと思う。


「ここ一体どこなのでしょうか。いまいちわからないのですが」

「そうだな………君たちの言う神界と思ってくれて構わない」


 神界。ついにそんなところにまで来てしまったのか。まだ異世界に来てそんなに日数は経ってないのにな。今更ながら小ボスなしで一気に中ボスにいった気がするんだよな。さっきなんて大ボスな気がするんだが…。僕の人生ストーリ上ではあれが小ボスなのかね? 僕の人生は波乱万丈だな! ………笑えね。


「てことは、ここにはいろんな神がいらっしゃるということですか?」

「いや、ここには私しか神はおらんよ。簡単に言えば…………私の家、かな」

「この、世界全部?」

「ああ」

「…」


 どうやら神は想像を超えて凄いらしい。

 神には一人(?)につき一つ、空間を保持しているらしい。そこを自分らで好きなように変えることができるという。………あれかな? 町育成ゲームと同じ感じか?


「他の神のところへは自由に行き来できたりするんですか?」

「いくつか制約あるけど、それを守れば行けるよ」


 どうやら神は意外とフリーダムのようだ。


「ちなみにアテン様は何を司る神なんですか? 近しい名の神は聞いたことがあるのですが、アテンという名は聞いたことが無くて…」

「………ちなみに近しい名の神というのは」

「アモン神です。アメン、というのかな。確か、豊穣の神だったと思います」

「ああ、あれか…」


 なんか、急に落ち込み始めた。地雷、踏んだ?


「アメンは神話でいうとどこの神話だったか覚えているかい?」

「エジプト神話、ですよね?」

「そうだ。そこの太陽神は知っての通りラーだ。アモン=ラーとも呼ばれる。何時だったかは忘れたが唯一神として崇められていた。だが、ある地域、そしてある時期では別の神を唯一神として崇めていたんだ。それが私、アテンだ」


 意外と真剣な表情で存在を語るアテン神。一時期は唯一神、か。一体その時に何があったんだろうか…。


「まあ、そんな私も慈愛の神だとか言われているがな。ただ、私の存在を知っているものは少ない。同じエジプト神話の神なのに…。私はそこまでちやほやされたいわけではないのだが、誰にも相手されないのもそれはそれで寂しいものだよ…」


 場の空気が重くなった。なんか、可哀そうになってしまった。僕も知らなかったわけだし。申し訳なさが募る。ここは…。


「いいじゃないですか、知られなくたって」

「「「「「「「!!」」」」」」」


 横にいた6人が一斉にビクついた。「何言ってんの!?」て感じで止めろと視線で促してくる。アテン様はいきなりそんなことを、こんなタイミングで言ったことにビックリされたようだ。それでもかまわず続ける。


「誰にだって知らないことはあります。つまり、誰にだって自分は知っていて他人が知らないことはあります。情報は自分にとって有益なものを人は求めます。なので、知らないことがあるのは当然なのです」


 アテン様が下を向いた。肩の力を抜いてがっくりしている。みんなはオロオロし出した。


「でも――」


 これだけは言える。


「誰も知らないことなんてものはこの世に存在しません。知っている人がわずか少数であっても、知られていることには変わりありません。量より質という言葉があります。つまりはそういうことなのです。それでいいのではありませんか? 現に私たちはあなたのことを知りました」


 顔を上げて驚く神。少し光る雫が見えたが見ないことにした。


「それで、いいのではありませんか?」


 大事なので二回言います。これは譲れない。

 静寂が場を覆う。そして、


「………そう、ですね」


 小さくだが、確かに聞こえた。


「でしょ?」

「はい!」


 これで大丈夫、かな? 笑顔だし。

 太陽神だけあって、笑顔は眩しかった。






 そんなこんながあり、アテン神と絆を深めることが出来た。それは、よかったのだが………


「エヘヘ」


 ……懐かれてしまった。どうしてこうなった…。

神話関係の内容がこれからも入ってくると思います。まあ、できるだけ掘り下げていけたらいいなと思います。…嫌だったら言ってね。たぶんこの方針でいくだろうけど。


今回のキャラでもいたアテン神ですが、よくわからない神だとか書かれているものもありました。はたしてこれが本当にあっているのかは、エジプト神に関してあまり詳しくないので何とも言えません。まあ、僕はこれが正しいと思って書いてはいますが。間違いとかあれば教えていただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ