覚醒を経る………
回線が重くて投稿がぎりぎりになった。
たまにこういうことあるから気をつけないとね。
アキが意識を手放したのを確認して私は他のやつを始末することにした。
しかしあいつ以外はどれも興味がなかった。だからだれからでもいいんだが、さてどうするか…。
「おい、アーレウス」
「? ………ああ、お前、どうした? 遺言でも言いたくなったのか?」
さっきから必死に私の魔法を解除しようとしてた小僧。一番あいつと仲が良さそうだった男。………よし、こいつにしよう。
「俺は久方ぶりにキレそうだ。いいよな? いいよな!?」
急に大声を出さないでほしい。ビックリするではないか。てか、キレたところで何も変わらんのに馬鹿なことだ。しっかしいまのは少しイラッてきた。さっき殺ると決めて正解だったな。
「…………現世に顕現する無の神よ」
「?」
急に詠唱を唱えだした。しかし、知らない詠唱だ。急に嫌な予感がしてきた。こういうのは発動させたらヤバいやつだ。消しておくに限る。
「〈霧散〉!」
魔法を消す対魔術師用の魔法。消せないものはない。これで消え、
「轟く闇の静寂よ」
………詠唱が続いてる? どういうことだ?
「〈霧散〉!」
次こそ消え、
「我は汝らの契約を此処に翳す」
ない。馬鹿な!? 消えない!? 一体どうなって、
「我が名はノトス。輪廻により再び舞い降りた闇の天使為り」
まずい! このままだと詠唱が終わる! こうなったら!
「『口を閉じろ!』」パリンッ!
何かが割れた音がした。
(? どういうことだ? 口を閉ざしただけで魔法が割れる音なんてするか?)
疑問を抱いたまま男の方を見る。すると、
「すべての理を無に帰す!」
それでもなお、詠唱は続いていた。
(どういうことだ!? どうやって詠唱を続けている!? 口が、動いてる? てことは私の〈支配〉が効いてないというのか? 一体どうやって!? いや、それよりも早く魔法を解除――)
ただもう遅かった。
「〈零地点〉!」
「………?」
(魔法を使用された、はずだ。だけど何も起こらない。どういうことだ? 何の魔法を使用したんだ?)
わからないことだらけで混乱している神。そこに追い打ちをかけるかのように声が聞こえる。
「………我が瞳は紅蓮となる」
「!?」
後ろから声がした。ただ、後ろには人は一人しかいない。まさか、あれでも――
「我が炎で血を染め上げる!」
立ち上がるというのか!?
「―――超眼〈煌眼〉!」
身体が重いなか、なんとか立ち上がった。体力は回復してきているから少しの時間は持ちそうだ。全身ボロボロでキツいがなんとかなるかな。ん? アーレウスの奥に誰かいるな。誰なん………
「…………俺の覚醒シーン、必要だった? もうちょい寝とけばよかった?」
「…いや、助かる」
ユウがいた。ていうか、動けるんだな。どうやったんだろうか。あと、本当に必要だったのだろうか?
「二人で殴る?」
「…激しく同意。久しぶりにイラッてきてる」
珍しいもんだな。大人びてるっていうかあまり怒んないのに。それよりも何に対して怒ったんだろうか? まあ、それはいいか。
「やるとするか!」
「派手にきめるぜ!」
こんな時でも元気で、切り替えの早い二人である。
「締めはくれてやるからやらせてくれ。嬲られたお返しはしないとな!」
一歩踏み込み、足の裏に力を籠める。その力をバネにして飛び出す。
「これでもくらえ! 〈飛び火〉!」
一直線にはじける炎を飛ばす。俺は手の甲を相手に向けるように右手を握りしめ力を籠める。アーレウスは――
「〈霧散〉!」
手前3メートルのところで魔法が消した。……
「………あれは反則だろ」
「…それを何とかするのがお前だろ」
「まあ、そうだけどさ」
俺は握りしめていた右手をデコピンの感覚で広げる。
「ボン!」
アーレウスの手前30センチで炎がはじけ飛ぶ。ビックリしたようで後ろに下がる。それを見越して〈土の刃〉を着地地点の足元にぶち込む。これには気づいたようで少しタイミングをズラして着地するようだが―――――それは悪手だ。
「爆ぜろ!」
土の刃が地面に着弾する直前に破裂する。砂が重力に逆らうかのように上流する。アーレウスは前方が見えなくなり、咄嗟に〈霧散〉を使う。ただ、砂が急に前方に飛び出たときに驚いたようで少し遅れている。戦闘中はどんな人でも一瞬の隙は命取りとなる。俺はアーレウスの右を通過するように土の刃(大)を飛ばす。その後すぐにジャンプする。
「そこか!」
霧散する瞬間、黒い影を見つけたアーレウスは案の定、そこに〈炎拳〉を繰り出すが、受けた感覚は柔かった。
(しまった!)
「気づくのおせーよ!」
心を読んだかのように叫んだ俺はアーレウスの背後を取り両手を背中に添える。振り向きざまに払おうと振り返るが―――遅い!
「気を喰らえ、〈零はっけい〉!」
身体の内部を破壊するはっけい。その威力は岩をも砕くという。定番かつ対人では臓器の位置がわかるので効果を与えやすい技だ。
アーレウスは5メートル程飛ばされるが、なんとか踏みとどまる。しかし、身体は厳しそうだ。
「ゲホッ、ゲホッ!」
口から血が出る。横腹にも血がにじむ。振り向く際に体をひねることで照準がズレ、横腹に衝撃を受けた。骨が折れなかったのは幸いだったが、結局肺にはダメージが入り呼吸が苦しくなっている。
内側を鍛えることはどんな人でも難しい。肺の耐久力は持ち合わせていない。いくら神でもここまで来ると厳しい。ヤバい、仕方ないが逃げ――
「逃がすとでも?」
「!?」
地面から出てきた大量の手に巻き付かれ動けなくなる。クソッ!
「霧散せよ!」
だが、消えない。
「クソッ、どうなってるんだ! どうして消えない!」
「それはな、認識をそらされているからだ」
種明かしをしてあげる優しい主人公。負けフラグは立ちません!
「お前は自分の知っている魔法しか消せないようだな。そして、魔法名をイメージすることでそれを消している。なら、少し逸らすだけで消そうとしているが消せていない。簡単だろ?」
笑顔でそんなこと言ってくる。青筋は浮かべているが。
(そんなもの闇魔法でしかできないはずだ。しかし、人間が闇魔法を使えるなんて聞いたことがない! 一体どうなってるんだ!? いつから世界は非常識になったんだ!?)
神のお前がそれ言うか? 、とも思うがグッとこらえるアキ。そして、ここからはユウの役目。
「いつも通りまかせるぞ」
「ああ! いいところもらっていくぜ!」
弓の形をした魔力の塊を引き、狙いを定める。
「〈滅弓〉」
アーレウスの心臓を貫く。闇の光が貫いたところを中心に広がり、腹のあたりまで来たところで世界が歪み――――――くり抜いた。
頭と足だけになったアーレウスは地面を転がる。アキの足元に頭が転がり込む。顔が上になるように転がしたら、目にはまだ光が残っていた。
とどめとばかりにアキは頭を剣で貫いた。剣に刺さった顔は――――笑っていた。
「神殺し、おめでとう。これからまだまだこういうことが起こるだろう。せいぜい楽しみにしているがよ――」
「うるさい」
地面に叩きつけ真っ二つに割れた。そこでアーレウスは霧散した。
みんなの元に戻ると、ユウには頬を一発叩かれ、女性の皆は泣きながら抱きついてきて、ロイドはカッコつけたのちに後ろを向いた。隠しているようだったが、肩が震えているのでバレバレだった。俺はそれらの対応にあたふたしながら、とりあえず頭をなでて落ち着かせようとするが、ノインに対しては逆効果だったらしくさらに悪化してしまい、ただ時間が過ぎるのを待つことしかできなかった。
ただ、みんなに心配されていたと思うととても嬉しくなり、自分の居場所に安心したのだった。
一人称が急に変わったり、いろいろあって気持ち悪いかな?
書いてたらなんかこうなってた。文章力…。




