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飽きない日々を求めて ~異世界で最強になってみた~  作者: 夢幻
7章 僕は世界を知る(ノーゼン~)
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戦いの神

なんか、書いてるうちにこんな話になりました。……最初はこんな話にせずにさっさと助ける予定だったんだが。


次話ですが、みんなが寝て起きた頃には見れるようにしておきます。今、必死です(笑)

 転移した先は――――4つの分かれ道のある一室だった。一応全員で転移はされているようだ。案の定、アーレウスはいないけど。ただ、転移するときに何か言われた気がする。確か――


「一人ずつ分かれて4つの試練をクリアしたら、私への道が開かれるでしょう!」


 こんな感じだったな。確かにゲームでは鉄板のストーリーだ。赤白ボールに収納するモンスターで戦うゲームでの四天王を彷彿させる。よくあるやつだしパクってきたのだろう。悪くはないんだけどさ…。


「…………僕らって今、6人なんだよね」


 僕、ユウ、ロイド、メア、ノイン、アイナの6人ここにいる。つまり半分は二人で攻略していいってことだ。……これでいいのだろうか? まあ、そんなことしなくてもいいんだけど。


「どうする? じゃんけんでもする?」

「まあ、仕方ないですね。6人なんだし」

「…異議なし」


 みんなはじゃんけんする気でいる。いや、しなくてもね…。


「みんな、ちょっと僕に触れといてくれない?」

「「「「「?」」」」」


 疑問に思いながらも僕の肩に全員の手がのる。僕は前準備で用意しておいた転移を使う。


「…………………………………あの、反則は止めてもらえませんか?」

「だが断る!」


 僕の目の前にはアーレウスがいた。え? ルールなんてあったっけ?

 僕は構わずアーレウスの頬に右ストレートをぶちかます。衝撃で床を転がる。僕は転がったアーレウスに重力魔法(自作)を使い、その場からの移動を封じる。応用すれば、相対位置の固定くらいならできる。転移魔法を使われると厄介だから分解魔法もしておく。魔法を分解して発動させ無くする魔法だ。対魔法使いでは超便利なものである!

 僕はひとまず落ち着くと、周りから鋭い視線が突き刺さってくる。俺は知らんぷりだ。え? 何かおかしいことした?


「流石にそれはいけないんじゃ…」

「ま、まあ、仲間を思ってなわけだし悪いことはしてないんだろうけど、さ」

「それはやりすぎだろ…」

「…鬼畜」

「さすが我が主です!」


 アイナだけ全く別のことを言ってることに驚きだ。理由を聞くと迅速に相手を屠る姿に感慨深くなったとのこと。………そんなの褒められても困るな。今の状況なら尚更だよ。


「さて、ニーナはどこかな?」

「……………貴様、卑怯だとは思わんのかね!」

「卑怯は敗者の戯言に過ぎないのだよ」


 世の中、勝ったやつがすべてなのだから。命のかけた争いは負けたら卑怯なんて言う時間すらないもんね。卑怯であることは頭の回っている証拠だと僕は考えているよ。


「………なるほど、確かにその通りだな」

「? だろ。ならおとなしくして――」

「ならば私も残忍に恥じない行いをするとしよう!」


 そう言うと、アーレウスは唱え始めた。


「我、アーレウスの名において命じる。『跪け!』」


 アーレウスが宣言した。すると、


「「「「「「!!」」」」」」


 全員が膝と肘を地面につける状況になった。


「あ〜、疲れた。重力魔法を浴び続けるのって普通に身体に負担がかかるんだからな。痛いったらありゃしねえ」


 腕を軽く振り回しながら立ち上がるアーレウス。衝撃で魔法が切れたらしい。


「こ、れ、は――」

「我の切り札、〈支配(インペル)〉だ」


 アーレウスが僕に向かって歩きながらそう言う。自分の周りを支配する言霊。これの前では全てが無意味。まさに言霊の最終奥義。


 言霊は魔法とは異なる別種の力として存在する、いわば異能である。魔法とは違い、素質などによって覚えることが出来るとされているが、原理などは不明である。これにもレベルというものがあるらしいが、ステータスにはのらないらしく、感覚でレベルを把握するという。ただ、レベルの高いものは何でも、命じれば命じたままに現象を起こすことが出来るため、神の声とも呼ばれている。


 そんなチートを持つアーレウスが僕の前で立ち止まる。僕は視線を向けることしかできなかった。


「どうだ? 上から見下ろされる気分は。お前のようなやつには滅多にないことではないか?」


 煽られてるのを理解しているがイラッてくる。こういうのって本当は三下っぽいやつがすることやけど、強いやつがすると迫力しかないな…。………そういえば、アーレウスって名をどこかで聞いた気がしてきた。何か、大事なことだった気がするんだが…。


「…軍神、か。手強いな」

「知ってるやつもいるもんか。この世界にはいないもんでうまくいったんだがな」


 ユウは答えに行き着いているようだ。それを聞いてすぐロイドは青ざめていた。


「さすがに、それはないだろ…。それは反則過ぎやありませんの…」

「存在が反則級なのはどの世界にも、案外数多くいるもんさ」


 ロイドが何故か関西弁になっているが、それには反応せず対応はする。………どういう選別なんだろうか。


(存在が反則級? それで軍神、異世界 、そして残忍…………! まさか!)


 嘘だと思いたいが、今出せる答えはそれしかない。


「戦いを司る神、アレス!」

「…………ここには異世界人がおおいから余計やりやすい」


 僕らは神相手に戦っているのか!? しかも神の中でも戦いの神に! てかギリシア神話の神がどうしてこの世界にいるんだ!? そもそも神は存在したのか!?


 いろんなことが頭の中を動き回る。勿論ながら答えは出ない。そして、敵が神という事実を知って今更ながら手が震えていることに気づく。………これが実力の差を表している確かな証拠だった。


「粗野で残忍で不誠実か。今のお前にはぴったりだよ…」

「そうか? 褒められても何も出ないぞ」

「……………そうか(自分で振ってなんだが、イラってくるな)」

「さて、正体はバレちゃったしな。そろそろフィナーレとしよう!」


 アーレウスは槍を取り出し構えた。


「じゃあな、か弱き者よ」

「――――ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」


 僕の()に槍が刺さる。辺りを鮮血で染めていく。止血をしたいが、跪いた状況を解くことを許されていないので抑えることができない。僕の力も少しずつ失われていく。


「――と言いたいが、さっきのお返しだ。たっぷり苦痛を味わってから死ぬといい!」


 本当に甚振るのが好きらしい。神話の記述に恥じない外道っぷりに笑っちまうぜ…。


「ほらいくぞ! 避けれるもんなら避けてみろよ!」


 槍を下される。右足に吸い込まれるように突き刺さる。


「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」

「どうだ! 叫ぶことしかできないのはなかなかに苦痛だろ?」


 そう言って引き抜き、左手に刺す。


「ア゛ア゛ア゛アアアアァァァ…」

「ん? どした? もう叫ぶことすら厳しいのか? まだまだいくぞ!」


 右腕、左足、右太もも、右脇腹。何度も急所を外した攻撃は僕の体力と気力を削いでいく劇的な薬だった。最後の方になるともう反応するのも厳しいほど動かない。視界を紅く染め上げ、焦点が定まらずぼやけてきた。


 アイナとノインは叫ぶので一杯って感じだ。感情がすべてを支配していて、思考がされていない状態である。ユウやロイドはどうにかしようと動かそうとしているが神の名のもとに下された言霊の前に為す術がなかった。メアは、目に光を失っていた。これから起こることを考えて心を閉ざそうとしているように見える。


 身体のだる気が限界に達し、眠るように伝達が来る。ここで寝たら取り返しがつかなることを理解しながら、だけど少しずつ視界が暗くなっていく。


(これで終わってしまうのか…………もう少し、一緒に居たかった……………………………)


 今更願ってもどうしようもないことを思いながら、完全に暗闇となった。

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