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飽きない日々を求めて ~異世界で最強になってみた~  作者: 夢幻
7章 僕は世界を知る(ノーゼン~)
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オッゾ

題名通りの内容です。

「…わかりました。そのことについてはこのアルノから聞いてください。わしは少し席を外します」

「御意」


そう言ってマリオは外へ行った。…何なんだ? そして、アルノってそういう系なの? 驚きだ。


「では、ここからは私が話しましょう」


あれ? 急に優しいぞ? キャラが定まっていないのか?


「オッゾについてですが、まず………どういった理由で追いだされたかについて説明しましょう」


 自分であることを隠しているから、何処にいるかよりも何故そうなったかについて話し、間接的に自分ではないとアピールしようとしているな。そんなことしても無駄なんだけどな…。


「正直そんなことはいいんだ。どうせ、上の人の知ってはいけないことを知ったか、ただ邪魔だからだとかそういうことだろ?」

「………どうしてそうだと?」


アルノが何食わぬ顔で訊いてきた。ただ残念だな。驚いているのが心拍数でまるわかりだ。


「何とぼけてるんだよ。村長などの言い方やすぐに話さないとこから、不当な理由であるのはなんとなくわかるわ。それに………本人が目の前にいたら、そりゃそうなるだろ」


どうやら相当驚いているようだ。ただその後、何故か首を傾げられた。…何かおかしかったか?


「オッゾについて知らないのではなかったのか?」


そういうことか。自分の顔を知ってたと思われてるのか。残念(笑)


「鑑定持ちだよ。結界から出てくるところで見させてもらった」

「………そうか、だからあんだけ穏便に済ませようとしてたのか」

「無駄な争いはしない主義だからな」


 本人だとわかってりゃ、さすがにためらうだろ。犯罪者っぽくないのに他者からの情報だけで殺すのは馬鹿げている。僕は、情報の裏付けを基本(・・)する方なのさ。


「わかった。教えてやる。…と言っても、だいたいあんたが考えてるものと同じようなことだ」


まあ、詳しく聞かせてもらおう。


「私はギルド支部長になり、みんなが冒険者として頑張っている姿を見るのが楽しかった。新人の手伝いとかもたまにはしたものだ。そういったこととかが理由で、案外周りの人からの信頼はあったと思う。そうやって有名になってくると、国王からの招集とかが来るようになった。有名にならないと基本はそういったものは来ないので、喜んで行ったものだ」


遠目でどこかを見ている。過去を思い出しているんだな…。


「そこで貴族の反感を買ってしまったのだ。いい子ぶってるとか、権力争いだとか、そういうことなのだろう。ギルドマスターは、実績を積めば国の政治に関与できるようになるからね。だから私をつぶそうとしたのだろう。私のいろんな悪い嘘の噂が流れたのだ。噂というものは良いことより悪いことの方が広まりやすい。あっという間に私は、信頼を失った。ただ、ギルドマスターとして続けることはできた。一応、ギルドの皆は私を信じてくれた。だけど………」


暗い顔になった。


「私は、とある三人パーティーが遠出のクエストに行き、しばらく帰ってこないので心配になり、後を追うことにしたのだ」


おいおい、流石に支部長自ら行くのは間違ってるだろう。


「そのパーティーと合流は出来たのだが、一人はすでに死んでいた。二人はクエストを失敗し帰ろうとしていたところだった。私はそのパーティーと一緒に帰っていたのだが、その途中で―――山賊に襲われたのだ」


ここで山賊か…。ん? 山賊?


「もしかして、今回のクエストの討伐って…」

「たぶん、その山賊だろう。まあ、後で言うつもりだったが、その場にいたものは一人の捕虜を除き全員殺っといた。」


やっぱりか…。これで収入が…。


「話を戻すが………その山賊は私たちにこう言った。『我々はオッゾというものに頼まれて依頼を実行している。おとなしくしてろ!』と」


それって…。


「察すると思うが、貴族が行ったものだ。二人は私から離れ、すぐさま走り去った。その山賊は、私には何もせず、二人を殺そうとしていた。先に仕留めようとしたのだろう。不幸か幸運かわからないが、一人逃げ切ることが出来たのだ。その後は私も殺そうとしてきたので、山賊を先と同じようにした。捕虜を国に持ち帰り独房に入れてもらおうとしたが、それよりも前に山賊のことが広まっていた。逃げ帰った一人が言い広めたのだろう。私は支部長の名を剥奪され、犯罪者として賞金首にもなってしまった」


そういうことだったのか…。


「その後、私はここのことを知り、やってきたというわけさ」

「…」


 これは、どう反応すべきなのか? 可哀そうにとでも言えばいいのか? 無口で通すべきか? 励ませばいいのか? …わからない。経験がないからそういった時にどう接すればいいのかわからない。ただ、これだけは言える。オッゾさんは―――――決して悪い人ではなかった。


「…教えていただきありがとうございました。クエストは失敗で報告しておきますね」

「………すまない」


こんなにも人は無力なのか…。力があるやつが強いのか? 否、そうではない!


「…ちなみにその貴族の名を教えていただけないか?」

「………やめておけ。そんなことをしても何も変わらないさ。気持ちだけ受け取っておくよ」


バレてしまうか…。さすが元支部長。人のことはよくわかってるな。


「いえ、ただ、これからの旅で注意しようかと思ってるだけです」

「そうか…」


何か、納得してくれたそうだ。 


「名をソクラスという。風評とは異なるから注意しな。他にも何人かいたのは知ってるが、その人しかわからなかった。後から調べたことだから、間違いないだろう」

「ソクラス、か…。ありがとな」


と言って私は立ち去ろうとしたところを止められた。


「そういや、私も聞きたいことがあるんだった」


そして、とても白々しい。嫌な予感がするが、こちらが話を聞いた以上、あちらの話も聞かないとな…。


「何でしょうか?」

「君は人族だな?」

「ええ、そうですが」

「仲間は4人なのか?」

「戦えるのはそれだけです」

「つまり他にもいる、と…。そして人族3人に魔族が1人。あと子供が不思議だったな…。」

「お~い」

「………ああ、すまない。訊きたいことはことはこれからなんだが、人族で勇者召喚を行ったと聞いたのだが本当か?」

「ええ。大々的に公表しているようなので間違いないでしょう」

「君はどこ出身だい?」

「………アイゼンです」

「へぇー、偶然()同じところだったのかな? そんな偶然もあったもんだねー。そういや、そこの勇者のうちの2人が人族内では指名手配にされてると聞いたのだが本当かい?」

「………いや、知らない。ちょうど公表された数日後くらいに魔界に来たもんで、それから先の人界についてはわからない(手配、されちゃったか…)」

「そうか………そういうことにしておこう」


どうやら、僕は勇者確定らしい。まあ、合ってるからいいけど。


「で、そんなこと訊いてどうしたいんだ?」

「いや、ただの興味本位さ。おしえてくれてありがとな」

「………元支部長の名は伊達じゃないってか」

「まあね」


頭がいいとこういう時は辛いな…。まあ、言うつもりはないらしいから邪険にしないでおこう。


「それで、便宜を図ってくれたら双方に利益があると思うんだが」

「それでチャラってわけか」

「さあ、何の話だか」

「………いい性格してるよ」

「お互い様だ」





少しだが、オッゾのことが分かったよ。こいつはほんとに有能だったんだな。

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