アルカはアルカ? 「いえ、そんなものはありません。」
遅くなってすみません。
今話からアキ視点で進めていきます。
今まで進まなくてごめんね…
「大丈夫か?」
事の発端も何も知らないけど、とりあえず助けなきゃな。
「………ふえっ?」
…なんか、変な声が聞こえた気がしたが気にしないでおこう。相当驚いていらっしゃるのだろう。なら落ち着くまで放っておくべきだ。
「そこから動くなよ………すぐ終わるから。」
そう言って俺は魔物を斬り捨てる。
ブラックハウンドはほんとなら強いはずなのだが、僕からすれば単なる雑魚だ。連携がメンドイが、それ以外は何も脅威ではない。…まあ、普通より基本値が高いだけである。
「我求めるは龍の綻び 轟け〈咆哮〉!」
〈咆哮〉は叫ぶことで威嚇と衝撃波による攻撃をするオリジナル魔法(?)だ。まだうまくイメージが出来てないので詠唱しないと使えないが一応全範囲攻撃として使える。後方になると前方の三分の一くらいしか発生しないが、それでも十分の威力がでる。敵がバサバサ倒れていく(笑)
衝撃波による吹き飛ばしと鼓膜の破裂による攻撃は、意外と対人戦向きなのかもしれないな。…仲間のみんなには耳栓をしてもらっている。
「…痛っ!」
あ、ワリィ。怪我人さんに耳栓させるの忘れてた…。
「我求めるは慈愛の光 〈ヒール〉」
回復魔法は使ったことないし、医療関係に携わったことなんてないためイメージが出来なかった。仕方ないので詠唱した。ちなみに〈ヒール〉は回復魔法の中でも一番効力が弱い。なら何故使ったか。決まっている。
〈ハイヒール〉より〈ヒール〉の方がカッコよくね?
まあ、個人的にはリザレクションとかの方が好きだけど、能力はともかくハイグレードみたいにいかにも強くなったよ、て着飾ってる感じなのがあまり好きではないだけだ。…まあ、ゲームでは遠慮なくハイヒールとか使ってたけど。
あと、回復魔法は魔法発動者のステータスの魔法値によって威力が変わるみたいで、僕の力を以ってすれば〈ヒール〉でも全然足りたりする。…世の中の神官達は悲しむだろうな。いらなくなるもん。
「…無茶すんなよな。」
「いいじゃねえか、ちゃんと大丈夫なわけだし。」
「…ちゃんと大丈夫って………日本語、大丈夫か?」
「ウッセ。」
お前に言われたくねえよ。
「…てか男、なんだな。普通こういうのは女なんだけどな。」
「まあ、テンプレとは違ってもいいじゃないか。助けれたんだし。」
「…まあ、そうだけど。」
…正直なんで男なんだよ、と思ってました。
「ま、さっき女の子見つけたし、いいでしょ。」
「…その言い方は犯罪臭がする。」
「…確かに。」
僕らが向かっていく途中で女の子に出会ったってだけだ。傷ついてたから保護してあげるだけだ。男の妹さんかな?…似てないか。違うよな。
「…二人を持ち帰るってことでいいんだよな?」
「ああ。流石に置いておくのは悪いだろ。」
「…そうだな。」
僕は気絶している男を担いで行った。
「止まれ!」
僕らはアルカに入ろうとしたところ、門番に止められた。
別に怪しいものではないですよ?
「その抱えてる人はなんだ?」
「…ああ、これはここに来る途中に拾ったんだ。魔物に襲われていたから助けた、てとこかな。」
「…嘘は言ってないようだな。じゃあ、ここには何用で?」
嘘を見破ることが出来るのかな? 直感か?魔法か?
「世界を旅する旅人なんで、目的はないですよ。ここに来たのは、米を食いに来る予定だったんだ。」
「コメ?そんなものはないはずだが…」
「ああ、悪い。アレイス(この世界での米の名)だったな。僕たちの住んでたとこでは米って言ってたからそれで言ってしまった。」
「いやいいよ。本当の事みたいだし許可しよう。治療は入ってすぐ右に曲がって3つ目のところでするといい。ここでの医療施設だ。…あまり問題は起こさないでくれよ。」
「親切にどうも。」
魔界ではほんと人(?)それぞれだなと思った。
あと、先ほど回復魔法で治療し、キレイキレイしているのでいらないんですけどね。
ついでに、ここでの治療でいくらかかるのか興味を持ったので値札を見に行ってみた。その結果、
「高っ!」
…思いのほか高かったのだ。
知らなかったのだが、回復魔法はこの世界において希少価値らしい。だから金をとって商売するらしい。
…ここはD○か?いや、D○でもホ〇ミとかで回復できたぞ。そんなに適性がない人が多いんだな。あと、勇者は全員覚えれたんだがこれは秘密にすべきかもしれない。可哀そうになる。
宿で一泊することにし、三人部屋を2つ借りることにした。…さすがに全員で大部屋で寝ましょうなんて阿呆なことは言えないよ。男女で分けますよ。まあ、女の子はこっちで預かってます。とても、男が心配みたいだし。むっちゃソワソワしてるし。
待つこと一時間。
「………ハッ!」
「「!」」
急に起き上がるからびっくりしたよ!何なのこの人。
「あれ、ここは…」
「………大丈夫か?」
さっきと違い、少し哀れみが含まれてます。
「え、ええ。…助けていただきありがとうございます。」
「そうか、ならよかった。」
ちゃんと返せるのか………ユウよりはまともだな。
「お兄ちゃん!」
感心していると女の子が男にダイブした。
「グフッ!………あ、ああ。元気でなりより―」
「心配したんだからね!」
…テンプレ通り頭が鳩尾に入ったようだ。そして怒られる。ザマァ(笑)
「…すまない。でも、君を助けるので必死だったんだ。許してくれ。」
頭を下げる男。それを見下ろす子供。…なんかシュールだった。
「え、あ、うん。…その、ありがとう。」
急展開ですね!妹だとはじめ思ってたけど、実はただのボーイミーツガールなのでは?…なんかイライラする。
「オホン」
「「!」」
「…僕たちを忘れないでくれないか?居心地が悪くなる。」
「「す、すみません!」」
見事にそろう二人。…もう知らんけど、とっとと付き合っちまいなよ。
「え~っと、とりあえず二人の名を知りたい。」
「…そういや君の名を聞いてなかったね。」
「…私も。」
え、どゆこと?会って間もないの?え?は?
「えっと、俺は…ユウト。よろしくお願いします。」
「私はニーナです。よろしくお願いします。」
「僕はアキト。そんなに固くならなくていいよ。いつも通りで構わないよ。」
「そうか?じゃ、遠慮なく。」
「私はいつもこの話し方なんですけど…」
「それならそれでいいよ。」
今時、そんな人っているんだな。
「えっと、二人は会ってどれくらいなの?間もない感じがするけど。」
「と言われても…」「ね…」
「?」
なんか、複雑な事情なのか?
「俺ら、一度しか会ってないんだわ。」
「…マジ?」
「マジマジ。」
まさかの情報だったね。おにいちゃん、びっくりだよ!
「じゃ、どうしてユウトはニーナを助けたんだ?ほとんど赤の他人なのに。」
「………」
しまった!墓穴を掘ったか?やっちまったか?
「昔の俺に似てたんだ。こいつ、裏路地で大人にとっ捕まえられてるのを見て思わず助けたんだけど、その時に何したいか訊いたときに言った言葉が『…死にたい。』だぜ。思わず笑っちまいそうになったけどその時はお金を渡して帰らしたんだ。」
…なんか、重い話だな。でも、話し方に問題があるのか、あまり雰囲気が伝わらない…。
「で、三日後に気になったから町の人に訊いてみたら森の方へ連れていかれたっていうからさ。思わず行っちまってな。で、この有様だ。全くだよ。」
…
「お前は助けてよかったと思ってるのか?」
「あ?ああ。自己満足だけど、助けてよかったとは思ったよ。おかげで人の心を思い出せたからよ。」
「?」
どういうことだ?…とりあえずユウトが助けたってことはわかったが、最後の一言。あれがわからん。
そういえば、ユウトって名をこんな異世界で使うか?普通そういう名って日本で使うやつだろ。ユウト、ユウト、ユウト………どこかで聞いた名だな。
「なあ、好きな言葉ってなんだ?」
「いきなりだな。…え~っと、アイ スクリームかな。」
「あいすくりーむ?何それ?」
「それって、アイスのことではなく、『私は叫ぶ』の方だよな。」
「…よくわかったな、その通りだよ。」
うん、確定だね。
「あと一つ。君は『転生』と『転移』、どっちが好きだい?」
「!」
ようやく気付いたか。
「ちなみに僕は転移の方だよ。」
「…」
「俺は、転生の方だ。」
自用で一週間ほど投稿できません。すみません。




