ステータス
「皆さんには、ステータス作成のためにこの魔法でできた真珠に触れてもらう。」
話によると真珠はこの国に2つしかないらしい。とても高価で珍しいもののようだ。
今更だがさやか先生がいた。
阿形沙耶香先生。5限目の授業の予定だった数学の担任だ。童顔でマスコットを見るときのような可愛さがあり、みんなから親しみを持って『さやちゃん』と呼ばれている。臆病なところがあり、今の今まで困惑していたみたいだ。
どうやら先生も参加するようだ。だが、あくまで生徒を守るために力を得る、みたいなことらしい。臆病なのにできるのだろうか…。
ちなみに1人の認証にだいたい1分程度かかるらしい。41人となると流石に長いな…。好きな順だし僕は最後でいいから気長に待つとしよう。
20分くらい経っただろうか。その間、ずっと光が出たり消えたりしていた。どうやら、殆どの人が終わったようだ。
周りには、これからを思って、楽しみなのか喜んでいたり、怖く感じたのか緊張していたりなど、さまざまだった。
そろそろ僕の番かな。何がくるか、正直ワクワクしている。
真珠の前に立った。…この真珠、なんか無駄に迫力があるな。ただの透明な真珠っぽいのに。
よし、いくぞ。
ピタッ
真珠が光りだした。綺麗な光だ。正直、光らないという確率も予測していたが、どうやら心配はないみたいだ。みんなは自分のことやこれからのことを考えてて僕の方は見ていなかった。ちょっと悲しい…。
徐々に光が弱まっていく。その時、一瞬真珠の中に黒い電流みたいなものが走ったように見えた。…気のせいだろう。
光が出なくなった。いよいよステータスとのご対面だ!
<ステータスオープン>!
name 翼明人
age 16
male
level 1
体力 15
筋力 10
耐久 8
敏捷 12
魔法 10
称号
勇者
新米魔術師
〈オリジナル〉
スキル
〈転位魔法〉
風魔法 レベル1
本当だ、ステータスが見れた。ちょっと感激だ。
レベル1の平均ステータスが一体どれくらいなのかわからないのでなんとも言えないが、飛び抜けて強いということは無さそうだ。
気になるのはスキルにある〈転移魔法〉の文字。これってどういうこと?何故この魔法だけかっこ付きなんだ?てか、この魔法で日本に帰れるのでは?
〈転移魔法〉
自分から半径10m以内に瞬間転移ができる
使用後10秒は使用できない
魔法の詳細を見たいと念じれば普通に見れたが、どうやらそうでもないらしい。てか、インターバル10秒って使いづらくね?しかも10mって短っ!正直使えねえじゃん!
今更だが、これ絶対オリジナルだよな。この魔法が普通に存在してたら改良して普通に召喚魔法くらい作れそうだし。
どうしよう。みんなの前では使えない。そして、国にばれたら面倒だ。厄介極まりないスキルだ。本当にどうしよう。
「あの〜、少しいいでしょうか?」
1人の女性が国王に尋ねている。
接点がないためどういう人かはわからないが名は確か、桐原鈴音だったと思う。
「この〈膨張魔法〉について聞きたいんですけど…。」
おい、何聞いちゃってんの?普通に見れるじゃん。てか、嫌な予感がするんだが。
「知らない魔法だな。…てことはオリジナルスキルか!」
国王は凄く嬉しそうだ。うん、やっぱりか…。
「オリジナル?」
「うむ。オリジナルスキルとは、その人以外誰も持っていない特別なスキルだ。称号にもオリジナルの文字が出るらしい。自分の素質によって覚えている人が稀にいる。国には50万もの国民がいるがオリジナルを持っているのは3人といったところだな。とても珍しく重宝するものだ。ちなみに魔法の詳細は見たいと念じれば普通に見れるぞ。」
思ったより多いな。ていうか、てっきり僕だけかと思ったんだがどうやら勇者の中にはオリジナルを覚えている人がいるみたいだ。
「どうやら、物質を膨張させて爆発させるものみたいですね。私の視界に入るものしかできないみたいですけど。」
へえ〜、てことは爆弾とかを遠隔爆破とかできるのかな?視界内なら制限がないみたいだし便利だな、僕と比べて。
「言い忘れていたが、スキルは使う度に成長していく。1~10の10段階で、3くらいで普通、5になると天才とされている。まあ、今はあまり使えなくても効果範囲が伸びたり威力が上がったりするから、何度も使うことをおすすめする。」
なんか、冒険のはじまりみたいな感じでていねいに教えてくれる。案外優しいな。裏があるのか?それとも本当に優しいだけなのか?でも、成長するのは教えてくれてとても嬉しい。サンキュー、国王様!
「みんなに1人ずつに個室を用意したから今日は休むといい。夜はメイドが夕食の時間になると知らせにいかせる。その人が君たちの専属となるからよろしく頼むよ。」
なんかよろしくされたよ!何をよろしくしたの⁉︎
…まあ、疲れたしゆっくりしたかったからありがたく休ませてもらおう。
結局オリジナルにしました。