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飽きない日々を求めて ~異世界で最強になってみた~  作者: 夢幻
5章 僕は決意する(アルデオ~アルカ)
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壊れた心

少し、別の人の話が入ります。…これから3話くらいの予定です。

子供の頃から他人と違っていた。


俺はこの世界を嫌った。人が勝手に他生物を駆逐し、勝手に生きて、勝手に環境を壊していっている。その上、人は征服欲・支配欲に溺れ、他人を蹴落とすことしか考えていない。すでに争いが起き、その度にこの世界を壊していく。本当に訳がわからなかった。


でも所詮、俺は子供。成長しないと見えないものもあるだろう。だから、子供らしく周りと接した。偽りの感情、偽りの自分で周りと接した。周りに迷惑を掛けたくない。そんな風に思い子供の脳で必死に考えた結果、これしか思い浮かばなかった。






小学生になり、勉強もして、日記も宿題で出された。偽りの自分らしく、偽りの感情を並べただけの日記。誰かと話したり、言葉に表したり、表現したりするのが苦手だった。そのこともあり、うまく表現できずに簡単なことしか書けなかった。そんな自分が嫌になった。




3年生になり、周りの人の手伝いでもしてみようと思った。人助けは「こうしなきゃ気が済まなきゃ」という自己満足でしか出来ないと思っていた。それを自分がしていくうちに変わるかもしれないと思った。

………そんな期待はしない方がよかった。とくに変化がなかった。むしろ、やっぱり自己満足でしかないんだと、納得してしまう結果となった。




5年生になり勉強が出来なくなった。この小学校がそこそこいいところで、昔は近所の人が入りたくても入れない難易度の高い人学校だったらしい。今も中学校とかだと偏差値は高いから、周りから期待された。


でも、こんなクソみたいな世界で期待され、将来何をすればいいのかわからなくなった。したところで何にもなんない。ただ、辛いだけ。デメリットでしかなかった。俺は勉強する意味がわからなくなった。


その影響あってか知らないが、勉強しようとしたら利き手の右手の力が入んなくなった。一時的なものでつねに起こるわけではなかったが、その頃の俺には勉強しない理由としてとても効果があった。


その頃から二次創作の世界に走るようになった。この世界とは別の世界。それが自分にとってよかった。異世界ファンタジーは特にのめり込んだ。自分も転生できたら…と何度も思ってしまい、現実逃避を強める結果となったが、しないと辛くて生きていけなかったため、仕方なかった。


そんなこんなで、勉強に手が進まなくなり、テストの点数も落ちた。家族には心配され、塾に行くことになった。…心を壊していくだけにしかならなかった。


たぶん、その頃にはもう壊れきっていたと思う。周りにそれとなく相談したけど、望むことと違う答えしか返ってこなかった。表面上の薄っぺらい言葉で一時的な慰めにしかならず壊れた心を少し修復してはまた壊すだけにしかならず、苦痛でしかなかった。


これが原因で、人の言葉が信じられなくなった。






中学生になり、勉強をしなくなり、おれにとって何もなかった。でも、流石に周りに迷惑を掛けすぎてると思い、2年生の時、無理やり頑張って勉強をした。結果、学校でも上位に入るほどになった。でも、将来なんて考えたくもない俺にとって、単に疲れるだけでしかなかった。


3年生になり、今まで周りにいなかった人が少しずつ話しかけてくるようになった。人は嫌いだし信用もしてなかったけど、話している間は気を紛らすことができてよかった。ただ、相手に偽りの自分しか見せられない罪悪感でストレスは溜まっていったけど…


その頃から論文を書くことにした。理由は特にない。ただ、書くことにした。内容は主に、「世界における人生のちっぽけさについて」である。ネットでアップしているだけなので俺がしてたということは誰も知らないが、いろんな人から共感された。…少し嬉しかった、のだと思う。





高校生になり、軽音楽部に入った。新しい発見とアニメの影響で始めた。案外楽しかった。気を紛らすのにはよかった。ただ余計勉強に対する気が削がれ、順位も下から数えた方が圧倒的に早いところまで落ちた。両親はどうして勉強しないのか何度も聞いてきた。怒っていた。

「家族がこんなになって必死になってるのにどうしてあなたはそんな風にいられるの!?自分のことでしょ!?」

何度も言われた。そんなことはわかっている。でも、もう俺には無理だった。やろうとも思えなくなり、悪循環でしかなかった。


家族に申し訳なくなり、また無理やり頑張ってみた。でも、結果は前より悪くなった。…勉強は反復してやるからこそ意味がある。そんな急にやり始めてもうまくいかない。わかっていたけど、勉強をもうしたくなくなった。


母は俺のことが理解できないと言っていた。前は、あなたの行動は全て筒抜けなんてほざいていたのに…

人って勝手だし都合の良いように言うよな、と思った。もうすでに限界だった。




そんなある日、テストの点数を、成績表を家族に見せなかった。見せたところであれこれ言われることがわかっていたから。ただ、親にバレた。理由は三者面談だった。その時に母に言われた。「親を舐めてんのか!」と。


…わかってるんだよ。別に舐めてるわけでもないんだよ。見せなくてもなんの意味もないことを。自分が悪いことも。他人は何も悪くないことを。俺の考え方が、生き方が、生活が、全て悪いことを。でも、どうすることもできないんだよ。もうすでに取り返しがつかないから。


心は壊れきって何度も子供の頃から思ってきた、死にたいという気持ちで一杯になった。ここから先、たぶんずっと迷惑を掛けるだろう。それなら今死ねば、その迷惑で相手がすり減らすであろう心は変わらなくなる。そっちの方がいいのではないか?、と。






親不孝で何もできずに申し訳なかったけど、俺にはもう、生きていく心の強さがないんだよ。………ごめん。


俺は自殺した。

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