VS アギド
「行きます!」
ノインを片手に走り出す!
見た感じ、アギドさんは魔法使いって感じだから遠距離中心だろう。そうなると、剣だけじゃ駄目かもな。今こそ魔法剣士としての力が試される、というわけだな。
「いくぜ!〈断罪の焔炎〉!」
アギドさんに黒炎のブレスが襲う。この魔法は触れれば即死級の炎を前方に放つ魔法だ。範囲攻撃としての性能は抜群である。ちなみにこれはただの〈ブラッドフレイム〉という黒い炎を放つ魔法を別称で言ってるだけに過ぎない。…僕の厨二化も進んじまってるということだ。
しばらく炎の方を見ていると、アギドさんがこちらに向かって突っ込んできた。どうやら炎は風で一時的に吹き飛ばしてそこを通ってきたようだ。この炎には修復機能がついていて魔法とかで炎と炎との間に隙間ができると瞬時に埋める性質があるのだ。それを持って考えると、この人は相当身体能力が高いようにみえる。少なくとも脚力は高い。…もしかしたら近接の方が得意なのか?
するとアギドさんが剣を抜くかのように右手を腰に構えている。…もしかして-
「〈ソードウイング〉!」
〈ソードウイング〉は自分が振った手の動きに合わせて風の刃が飛んでいく魔法だ。風が相手に見えづらくなっているので、奇襲とかで使われるものだ。手の動きを見れば刃の向き、大きさ、形はわかるので、正面で使うのは得策といわれてないはずなのに…
僕は防御に入った。そして予備で魔力を目に集中して集めた。○能力であった「凝」と同じような仕組みだ。特に何もない普通の刃………いや、違う。曲がってる!?
防御を諦めて回避した。咄嗟の判断でなんとかかわすことが出来た。
あの〈ソードウイング〉、急に曲がったぞ!マジでびっくりしたよ!あんなこと出来たっけ!?
「初手で見破るとはすごいなあ。」
「………それはどうも。」
「だが、次はどうかな!」
そう言ったが、相手は何故か歩いてくる。…なんだ、何故戦闘中に歩いて詰めてくるんだ?不安しかないだろ!
僕は思わず一歩下がった。…って駄目だろ。ここは、これでどうだ!
「〈ウインド〉!」
初級魔法で対応だ!相手の周りを風で覆い、動けなくする魔法だ。殺傷能力はないが、風に触れると弾かれるようになっている。つまり、相手の動きを封じることができる、
はずなのに、アギドさんはそのまま素通りしていった。
魔法の感知はなかった。じゃあ、一体何で?
「〈クロノス-」
やばい!何か来る!
「トリガー〉!」
………ん?何も起こらない-
「よく見てみろ。」
そう言われても特に何も…あれ?体が急に重くなって…
「明人さん!」
僕は床に倒れた。ごめんノイン、心配させてすぐに立つから。
「これ以上は無理です!やめてください!」
すぐさま返ってきた。…そういや、立てない。って足が!僕の足があってはならない方に曲がってる!
さっきの魔法で何かされたのか!?確か、クロノスって言ってたよな。クロノスは時の神だから…
「………時間停止魔法!?」
「よくわかったな。その通りだ。」
どうしろってんだよ。そんなの無理じゃねえか。…いや、待てよ。使うのは嫌だけどあのスキルを使えばもしかすると…
「いけるか、ノイン?」
「たぶんあの状態ならいけるかもしれません。…ただ、体に負荷がかかりすぎます。やめておくべきです!」
「そっか、いけるのか………じゃあ、やるぞ!」
「ちょっと待ってください!やめておいたほうが-」
「負けて悔やむより勝っておきたいんだ。…それに…」
「それに?」
「お前らに負けてるとこなど見せたくないんだ。」
「…今すでに負けてた気がしますけど………わかりました。どうなっても知りませんよ!」
「任せろ!いくぜ!」
負けたくねえんだ!使うしかねえ!
「己の力は無限なり。己の身体は有限なり。何時見ぬ理を求めて我は己を糧とする。」
黒装束に変更。厨二病にジョブチェンジ!
視界良好。感覚異常なし。気分良好。いける!
「我の名は、アキト・D・メア。漆黒を纏いし闇の戦士だ!」
もちろんポーズも忘れない。ただ、ここがイマイチピンとこない。改善の余地があるな。
「いざ、参る!」
…何故か近世に出てくる侍のようだ。…統一性が欲しい。
それはおいといて、アギドに向かって駆け出す。アギドは余裕だと感じたのか身体の力を抜いている。今が狙い時だ!一気に倒す!
「炎を喰らえ!オルデウス!」
剣に先程の〈断罪の焔炎〉の炎を取り込む。すると、剣が黒く染まる。
「いくぜ!オルデウス、〈ダーインスレイブ〉!」
炎を一点に集める!
「喰らい尽くせ!〈闇に狂いし炎龍〉!」
龍の形をした黒炎がアギドを襲う。急な展開にアギドも驚いている。
流石にこれを突破するのは無理っぽく、避けた。ただ、これで終わりではない!
龍は何度でも貴様を狙う!自動追尾である!この世界に追尾する魔法は存在しないので、知らなかったアギドは避けることが出来なかった。炎に飲み込まれ爆ぜて、焼かれる。魔法でカバーしているようだが、徐々に確実にダメージとして入っている。
しかし、ここで諦めないのが戦士だ。炎から飛び出してアキに攻撃しようとした-
ただ、アキの場所がわからない。いなくなったため、居場所を見失ってる。その隙は命取りとなる。
「バイバイ。」
上からアギドを襲った。とっさに避けられたが、剣を振って横腹を斬った。
さすがにこの一撃は致命的だ。内臓も軽く入っている。治療が遅れれば死ぬだろう。
「降参するか?」
「…」
首に剣を添えて聞く。
「…参った。降参だ。」
こういう系の小説を書いててなんですが、戦闘シーンが苦手だ…。
動きを書くのがどうやらとても苦手らしい。…どうにかしてうまくならないとな。




