現状報告………どうしよう…(本編です、愚痴ではありません)
本当に目的地らしきところの前に着いた。なんか焦らしに焦らされた気がするが、今度こそ会える。
正直、僕は楽しみだ。した事ないことをするのに抵抗がある人はいるが、僕は好奇心旺盛な立派な子供なので、むしろ大好物である。
…たぶんおっさんが出るんだろうな………だって千年も前の人だし。流石に子供なんてことは、ね。
扉をあけて部屋の中を覗くと、
「うん、やっぱりですか! ありがとう、神よ!」
ここで裏切らないこの世界。ありがとう!子供の登場だ!しかも美少女!え、なんなの?ユウってこんな子と知り合いなの?リア充なの?フザケンナヨ。
肌色が白くて小顔、目が大きく透き通っている。しかも白髪。某ゲームアプリの○○プロジェクトのテ○ナちゃん丸パクではないのか?僕、大好きだよ!…ロリコンではないぞ、決して!…今更ながらパクリは大丈夫なのか? 怒られないか? え、大丈夫? ならいいか。
………よく見たら腕にアザがある。いや、怪我とかではなさそうだ。元からあるものか?
「…相変わらずだな、もうちょっと成長してると思ったんだけどな。」
「?誰だ?」
「…俺は相沢友だ。いわゆる転生者だ。」
「…なんだと?」
「…昔の名はアルザードだ。」
「あの、影楼だと!?」
「?」
え、なに?ユウってそんなに凄いやつだったの?
「あの~、影楼というのはユウの二つ名、ですか?」
「そいつご本物ならな…闇魔法を得意とし、影縫いや、影弾きといった独自の魔法を創造し、動きが未知数とされた闇の戦士だ。…まあ、最期は勇者に倒されてたけど。」
マジか…ユウって実は凄かったんだな。
「…お前、俺を馬鹿にしてないだろな?」
「(フルフル)」
…こういう時だけは勘が鋭いから怖いわ。
「…本物なのか?」
「…勿論だ。ただ、魔素が存在しない世界に転生したから魔法の練習はこちらの世界に来た1ヶ月ほどしかしてないし、人族は魔族と体の構造が違うようで魔法の練り方も違うから、慣れるのには時間がかかった。オリジナルの魔法はまだ使えない。」
「…なら、どうやって証明するんだ?」
「……………そういや、お前の秘密はまだ秘密となってるのか?」
「秘密?なんのことだ?」
「…だからさ、…………」
「……………! 何故それを!」
「…これで信じてくれるか?信じてくれなきゃこの秘密をみんなに-」
「わ、わかった! お前を影楼と認めよう! だから、言わんといてくれ!」
「…善処する。」
「わかったと言ってくれ! 不安になる!」
………なんか、この子に対して抱いていたものが幻想だったようでボロボロ崩れていく。あれ、目から汗が…。
それにユウ。あんた、最低な方法で乗り切ったな。
「………私を忘れないで欲しいのです…。」
「ん?誰だい?」
「私の名はメアですよ。」
「! あの活躍された-」
「…あまり、昔のことは言わないでください。昔のことはあまり思い出したくないの。」
「わかりました。………あの、よろしければ握手を-」
「いいですよ。」
「ありがとうございます! ファンなんです!」
………もう、僕は駄目かも…。もう、見た目には騙されない!
「………大丈夫か、アキ?」
「…ちょっとほっといてくれ。理想が砕かれて僕にはしばしの時間が必要なのだ。」
「…阿呆だろ。」
「…自分でもそう思う。」
「…その子は?」
「…正真正銘人間だよ。」
「…大丈夫なの? 特に頭。」
「…大丈夫ではないが、頼りにはなるし使える。」
言いようが酷いな…
「…名前は?」
「………あ、ぼく?僕は翼明人です。アギドさん、ですよね?よろしくお願いします。」
「…よろしく。」
ちょっと素っ気ないな。やっぱり人族だからということで疑われてるのかな。
「大変失礼だと思うのですが、どういった魔法が得意なのですか?」
「特にはないんだが、強いて言えば………光属性かな。」
「魔族なのにですか?」
「………おかしいか?」
誰にも聞かれることだったのかもしれないな。
「いえ。気分を害したならすみません。ただ、珍しいのと、あまり魔法を使うことがないので効率の良い魔法の練り方を教えてくれたら嬉しいなと思いまして-」
「そんなもんお前の周りにいくらでも聞けるだろ。」
「いや、なんとなくあなたが元教師なのではと思い、そういった人なら教えも上手いと思ったのです。」
「………どうして教師だと?」
「言い回し、というかなんというか………とにかくそういったものが教師らしいと思ったので。」
「そうか………なあ影楼、そんなにおかしいか?」
「いや、普通だと思う。…こいつが異常なんだよ。」
「そうか…ならいいか。君の言う通り元教師さ。そのように買ってくれると自分も嬉しく思うよ。…特別だから一回だけ言ってあげよう。」
「ありがとうございます。」
教えてくれることになった。…なんか、情報をと思って鑑定したら教師ってでたからその場しのぎでなんとなくのことを言ったのに、なんとかいけた。
…もしかしたら、魔族って馬鹿の集まりなのか?正直、今まで見てきた魔族がみんなそんなんだからそう思うだけなんだけど。偏見だったらごめんね。
「まず、空気中にある魔素を感じるんだ。できるだけ微細にする。それを掌の上に球体を作るように魔素を固めるイメージを送る。すると魔素が集まり、魔素の濃い球体ができる。それに魔法のイメージ、火だったり水だったりのイメージを送り、魔素を書き換えていく。すると魔法を放てるようになる、といった感じだな。…試してごらん。」
なるほど。できるだけ微細にするイメージ。その一つ一つを起こしたい現象に書き換え、変換することでできるのか。
魔素は普段から感じてる。何も問題はない。次は球体に集める。…? 案外うまくいってしまった。人族ではしてないことだからできないと思ってたのだが…。
あとは現象に置き換える。今回は見やすく、周りに影響を与えにくい水に使用。…火にして失敗し、ここが燃えるなんてことがあったら大変だしな。………思ったよりムズイな。モノを思うより、色を思ったりした方が楽なのに………いや待てよ。もしかしたら、色を思っても出来るんじゃね?
………思ったよりすぐにできた。やっぱり色でもできそうだ。後は、放つ!
ボン!(魔法を放つ音) バキッ!(床の木が割れる音)
………威力、高くね?ナニコレオカシイダロ。
「…い、一発で、しかも力もある。………本当に何者なんだ?」
どうやら普通はこんな簡単にできないらしい。まあ、一発でできたら苦労しないよね。…ていうか僕からすればこっちの方がやり易いんだが…なんで、人族ではこのように教わらなかったんだろう。
「…お前、出来たのか?」
「できたけど、おかしいのか?」
「…あれだけ俺はできなかったのに。一体どうしたんだ!?」
「…自分も気になる。」
元魔族だから魔法の知識は僕より上のはずなのに出来なかったってことは相当ムズイのだろう。ってか、魔族の2人から魔法経験の浅い僕に質問をしてくるこの状況はなんというか、辛い。
「いや、火とか水とかの現象を思い浮かべるんじゃなくて、色を思い浮かべたんだ。」
「色?」
「例えば、水だったら青、火だったら赤、といった感じに魔素に色を塗りつけるんだ。そのイメージでやったらうまくいった。」
「………………あ、上手くいった。」
「え!?」
「だろ。」
人族はどうやらこの方法で魔法を生成する場合、現象ではなく色を思い浮かべるとできるようだ。
「…いや、もしかしたら異世界人ってところが絡んでるかもしれん。」
どういうことだ?
「…異世界人は魔法が使えないし、大きな炎など見ることがあまりない。だから火を思い浮かべても作ることが出来ない。そこで、火といえばということで現象のイメージの補填ということで色を思い浮かべるとできる、という感じだろう。」
「てことは、色だけを思い浮かべるより、火と赤、といった感じで両方思い浮かべる方がいいと。」
「…まあ、現象だけでできないならそれがいいだろう。」
なるほど。なんとなくだが理解した。
「…」
?何故かアギドさんが僕を睨んでくる。どういうことだろう?
「あの~、アギドさん。どうしたんですか?あんまり見つめられると恥ずかしいのですg-」
「今すぐ決闘してください、自分と。」
………は?
「どういうことですか?」
「あなたは少々危険すぎる。そんな人族は排除すべき。違うか?」
「………確かに敵にそういうやつがいたら危険分子ということで早めに潰しておきたいですね。」
「ということで決闘だ。」
「はぁ~………わかりました。でもここだといろいろ物を壊す可能性があるのでできたら他の場所に-」
「だが自分はそういった魔法は得意ではないのだが-」
「…メア。」
「こういうときしか私の出番ってないんですか…。まあいいですけど。」
ごめんよ、メア。
メアはそういうと、魔法を構築し始めた。…周囲に違和感を感じ始めた。一体何が起きるんだ?
「〈虚無の領域〉!」
すると彼女の床が突如黒くなった。いや、正確に言えばなくなった。
どうやらこの魔法は自分から半径5mにいる人を何もない空間に送り込む、というものらしい。しかも、その空間の境界線はないらしい。まさに虚無、だな。
「この空間なら存分にできるでしょう。…本当にやるんですか?」
「大丈夫だよ。僕が負けると思うかい?」
「いえ、全然。むしろ相手が心配です。」
「…それはないだろ。」
まあいい。メアに次いで2度目の強キャラだ。ここは、負けられない!
「いくぞ、ノイン!」
「はい!」
ノインを片手に僕は走りだす!
とりあえず前回の最後に書いた戦う、のところまで書きました。
基本2000字から3000字を目途に書いているのですが、皆さんはどれくらいの方が読みやすいですか?僕はこれくらいだとサクサク読めていいなと思います。




