滅亡
フラフラと何も考えずに、外へ出る。
出た瞬間猛烈な暑さに襲われた。
「うっ。なんて暑さだ…」
今はまだ春のはずなのに真夏日なみの暑さだ。
いつもなら休みをもらったら必ず寝ているのに、今日は何を血迷ったのか、いつもはしっかり食べていた朝ごはんもまったく食べなかったし、ニュースも見なかった。
はぁ。こんなことならいつも通り、家で寝ていればよかったなぁ。今になってそう思う。
家を出てまだ数分しか歩いていないのに、一日中歩き続けたような疲れがどっと押し寄せてくる。
これも滅亡の影響なのだろうか?
一休みしようと近くのドラックストアによった。
ここならきっと、エアコンが効いているだろうそう思ったからだ。
ただ突っ立っていたら変な目で見られると思い、歩き回ることにした。
何も買わないのもこの店に悪いな…と思ったから、日焼け止めコーナーに向かった。(俺は男だが、日焼には気をつかうんだ。肌がボロボロにならないように、
洗顔クリームだってつかってるぞ。)
日焼け止めコーナーの前に立ち止まる。
「ウソだろ?なぜない?」
いつもはずらりと並び、在庫処分セールなどに出品されている日焼け止めクリームが、一つも見当たらない。
何としても買いたくなってしまった俺は、隅から隅まで探した。
すると、店員の女性が在庫に1つだけありましたよ。っと声をかけてくれた。
「ありがとう」っとそう言い、その場を離れ、ほかのところを見てまわった。
しばらくすると汗が冷え、涼しくなったから日焼け止めを買い、外へ出た。
その瞬間、全ての携帯が鳴り響く。
人々は一斉に携帯を見つめている。俺も、携帯を見つめる。
そこには、本日午後4時に地球は滅亡する。それだけが書かれていた。
誰が送信したのかわからなかったが、ここに書いてあるのは事実のような気がする。…まぁ。俺の直感の話だが。
時計を見てみる。今は午後2時らしい。
ということはあと2時間で滅亡するのか…。
よし、じゃあ心置きなく死ねるようにしよう。
俺は、残り2時間、沢山遊び、思い切って高級料理を食べたりした。
もう思い残すことはない。
俺がそう思ったのは、4時の一分前だった。
時計の針が進み、4時になった。
そして、空の奥の方から、何か赤く光る物体が飛んでくるのが見えた。
だんだんと近ずいてきて、それが、隕石だと気づいたのは、地球にぶつかる寸前だった。
次の瞬間。体に衝撃が走り、目の前が真っ暗になった。…そう。俺はここで死んだのだった。