73アーサーの意地と榊家
「許してあげるのは今回だけなんですからね?わかってるんですか!?いい加減にしないと、泣いちゃうんですからね!!」
可愛いっ!!
異論は認めん。
胸の大きさとか関係無い!!
今ここにいるリーフさんは、絶対の可愛さに満ち満ちている!!
気の強い瞳を潤ませて、こんな事を言っている元騎士団長に、可愛さを感じられないわけがないだろうが!!
ふぅ。
涙ぐみながら抱きつかれました。
「不安にさせてごめんね。もうしない。約束します」
女の子特有の甘い香りと、柔らかい感触が体を包む。
これ程までに全身鎧が憎いと思ったことはない。
そして、ありがたいと思ったことも…
もし、直接抱きつかれていたら…
多分、意識が飛ぶか、理性が飛んでいた気がする。
ここに居るのは、セーフに、リーフさんに、アーサーか…
きっと僕が理性を飛ばしたとしても、誰も気にしない気がする。
特にセーフとアーサーは生暖かい目でニヤニヤする位だな…
そして、処女であるリーフさんすら気にしないであろう事が…
僕は恐ろしいのですよ!!
そして、この僕こそがメッチャ気にするっちゅうんじゃ!!
後で、ぜってぇ立ち直れない!!
間違いないっ!!
だから、僕は全身鎧に感謝した…
憎しみをしっかり込めながらも。
「さてと…じゃ、お二人さんが仲が良いのはよーく…わかったからのぅ。話を続けても構わんか?」
流石、アーサー。
甘い雰囲気をバッサリぶった切ってくれる。
伊達に年くってないぜ。
そこに痺れるし、憧れても良いなと思える。
セーフには出来ない芸当だね。
「失礼しました。アーサー、ぜひ続けて下さい。…リーフさんもそろそろ離れましょうよ」
「駄目です。これは罰なのです。朱音が帰るまではこのままでいて下さい。そうしなければ許してあげません」
ニヨニヨしてらっしゃる。
えっと、僕ごときに抱き付くのが至福といった面持ちは止めませんか?
「勘違いしてしまいそうなので、そんなに幸せそうに微笑まないで下さいよ。まるで、僕に抱き付くのがこの上ない喜びみたいじゃないですか?」
「正に、この上ない幸せだと思いながら抱き付いてますけど…何かおかしいですか?勘違いのしようがないと思います。何と何を勘違いなさるのでしょう?」
ぶふっ。
今度は僕が照れる番だったのか。
「瑞木、そろそろ、その童貞をこじらせた発言を止めな。あんたは嫁のリーフに愛されてんだよ。それを認めりゃ良いだけだろ。馬鹿馬鹿しい。さっきから甘々すぎて胸焼けしそうだよ。いい加減にしないと張り倒すよ」
だって、なんだか漠然とした、良くわからない怖さがあるんですもの。
童貞特有のものかな?
「まぁ!!私が旦那様である美孝さんを好きだって信じられないって意味に聞こえましだけど?」
ちょっとムスっとされた。
「いやぁ、生前はモテなかったし、一度勘違いで女の子に笑われたことがあるから、防御ラインを引きたくなるんだよ」
「まぁ、そんな見る目がない方と一緒にされるのは心外です。これで信じて頂けますか?」
そう言うと、不意にリーフさんの顔が近づいてきた。
えっ!?
と、唇が重なった。
柔らかい感触を残して離れていく唇。
「どうです?信じる気になりましたか?」
イタズラっぽく微笑まないで…
わかりましたよ。
「リーフさんに愛されてると自惚れる事にしますよ。そう思って良いんでしょ?」
「勿論です。私は旦那様である美孝さんが大好きなんです。こんなに思ってるのにどうして伝わらないのでしょうね…」
満面の笑みだ。
僕の奥さんは可愛くて、僕の事を凄く愛してくれてるらしい。
幸せだな。
「ええ加減にせんか!!ワシャ帰るぞ?」
あぁゴメンゴメン。
「失礼しました。アーサー」
「じゃあ、続けるでな。榊家は本流と言われる騎士団長を輩出する家と、傍流と呼ばれるその他の家に別れとるんじゃよ。ワシの家は、勿論傍流じゃ」
「本流なんて初耳ですよ!?」
ありゃ?
「そうなの?リーフさん。」
「はい、私は聞いた事がありません」
「まぁ、そうじゃろな、傍流は所謂種馬に近いからのぅ。男も女も…の。リーフの嬢ちゃん。いつの間にか家族が少なくなった事があるじゃろ?あてがわれた娘や息子と作った子どもの能力が低ければ、離縁させられて、家から消える定めじゃからのう」
うわ。マジ種馬じゃん。
「あっ、でも確かにその話の心当たりがあります」
「じゃろ?だから、本流の家で知ってるのは、当主くらいなもんじゃよ」
だから、リーフさんはアーサーを知らなかったのか。
「そこまでして、何か意味があるのかい?」
だよねぇ。
セーフ。
「さぁのう。あるんじゃないのか?ワシはその輪から家族を救う事にした立場じゃからな」
「ということは?」
「ワシの息子や娘は、自由に生活し、孫もそうしてやるつもりじゃった!!」
「玲子さんが優秀で、魔の手が伸びましたか?」
「そのとおり。奴等、わしの娘や息子の時には、経歴だけで蹴ったんじゃよ。好都合じゃと思っていたら玲子の優秀さは、世界の宝だとか抜かしやがった」
「なんでもしてきそうな感じがしますね」
「正にそうじゃよ」
「キツい話ですね」
「結局、ワシは殺されてしまった訳じゃが、玲子の強さには誰も勝てんかったらしいの。ほっほっほ」
嬉しそうだ。
「確かに、戦鬼の称号は伊達ではない実力でしたね」
「当たり前じゃ。ワシと家族が愛情をたっぷり注いでから強く鍛え上げて育てた玲子に死角なんぞありゃせんわい。だから、榊家についても、含むものはありゃせん」
「のわりに、随分心配してたじゃないですか?」
「30年も会えない孫娘を、心配して何が悪いというんじゃ?」
「いえいえ、良いです」
「さっき、心当たりがありますと、言いましたが、実は最後のそういう方がいたという話を聞いただけなので、知っているという話とはちょっと違うかもしれません」
「最後?」
最後ってことは?
「毎年、ある人を偲ぶ日があるんですよ。榊家に生まれ、榊家の有り様を愁い、孤軍奮闘して、命を落としたが、別の道を示した。御厨アーセナルラークという方を…」
「あぁ、それワシじゃよ。ワシのことじゃ」
おいっ!!
あれ?
鑑定で見てもアーサーのはずだけどな。
「もう、60年も前に捨て去った…というか、改名させられた本流での名前じゃからな。今は完全にアーサーじゃよ」
「アーサーさん。私の2人ほど前の騎士団長から変わってますよ」
「何がじゃ?」
「育成方法がですね。相性値を上げてからレベルアップする方法に変わってます。美孝さんの話を聞くまではわかりませんでしたが、あれは確かに、そういう意味を持って行われた儀式ですね。きっと」
なんの話?
「儀式?」
「そう、儀式です。鍛錬を始める前に毎日色んな人と握手するんです。覚えているだけで二千人位かな。その中に燈佳や朱音もいたんですよ」
二千?
「あぁ塵も積もれば山となるって考え方か」
「たぶん、そういう事です。お陰で私も強くなれましたし」
そうだよ。
凄く強い。
「じゃあ、アーサーの意地が本流榊家を変えたんだね」
「そうかもしれんの。死んだ後じゃから玲子の力のような気がするがの。じゃが、もしそうなら良かったわい。恨んではおらんが…気になっておった。使い捨てにされ、子供と引き裂かれる傍流の榊家の若者達の事…がな」
可哀想に。
「アーサーもまた、体制に牙をむいた先輩なんだね。ぜひ見倣わせて下さい」
「いや、わしゃ、孫の玲子の事が心配な…ただの幽霊ジジイじゃよ。ほっほっほ。…しかし、話も一段落したんじゃから、そろそろ離れたらどうじゃ?リーフの嬢ちゃんよ?」
「絶対にお断りします!!私の至福の時を邪魔しないで下さいませ」
瑞木美孝18才
レベル28(15)
体力値215(140)=30100
魔力値219(140)=30660
力339(140)=47460
知力231(140)=32340
俊敏さ214(140)=29960
器用さ220(140)=30800
幸運値250(140)=35000
魅力437(140)=61180
風10(140)=1400
水10(140)=1400
火10(140)=1400
土10(140)=1400
光10(140)=1400
称号
貧乳も好き、童貞、心清き者、地母神の養い子、殺害童貞喪失、狩人、精霊の親友、コボルトの天敵、難病の克服者
スキル
超鑑定
他種族言語理解
スキル取得補正
緊急避難
レベル・スキルリセット
収納ポケット
レベルアップ時の魅力値上昇十倍補正
叱咤激励
大声
降霊術
精霊魔法信頼級
交渉・召喚魔法上級
解体・身体強化・範囲観測中級
回復・催眠・風魔法・馬術・火魔法初級
武装レベル:槍13、剣8、投擲19、打撃1、短剣20
妻
リーフ
相性
綱芳(340)さやか(653)恵美(595)武司(95)玲子(55)朱音(1599)メルー(72)道緒(83)直(101)メアリー(87)燕(89)レモン(83)流々(88)里乃(81)リーフ(1614)奈美枝(203)天河(53)春臣(63)君里(71)秋虎(72)アーサー(200)太陽(79)七海(71)
精霊:風(12,1)水(9,3)火(9,1)土(8,7)光(7,9)闇(10,8)
奴隷
朱音・メルー・道緒・直・メアリー・燕・レモン・流々・里乃・リーフ・天河・春臣・君里・秋虎
設定
一部非表示
お待たせしてすみません。
やっと書き終わりました。
楽しんで頂けたら幸いです。
明日こそは、もう少し余裕が欲しいな。